今日から始めるモバイル決済

鉄道・バスで「Visaのタッチ決済」が1年で38倍に “キャッシュレスの島”沖縄の現状(1/2 ページ)

» 2022年07月01日 14時15分 公開
[石井徹ITmedia]

 ビザ・ワールドワイドジャパン(Visa)は6月30日、「Visaのタッチ決済」に関するオンライン説明会を実施した。公共交通機関における取り組みの現状と、沖縄県での事例が紹介された。

 Visaのタッチ決済のような、クレジットカードのシステムを使ったタッチ決済の仕組みは、欧米を中心に普及している。日本ではコンビニやスーパーマーケットなどの小売り店から徐々に普及しつつある。

Visaのタッチ決済 公共交通機関での導入が進む「Visaのタッチ決済」の端末
ビザ・ワールドワイド・ジャパンの今田和成氏 ビザ・ワールドワイド・ジャパンの今田和成氏

 ビザ・ワールドワイド・ジャパンの今田和成氏(デジタルソリューションズディレクター)は、「Visaのキャッシュレス戦略の中でも、交通分野は重点領域だ」と話す。日本でもVisaのタッチ決済の利用が進みつつあるが、最も高い成長率を示しているのが公共交通機関だ。2022年1〜3月のデータでは、交通分野での取引件数は前年度の38.1倍を記録したという。

Visaのタッチ決済 Visaのタッチ決済はスーパーマーケットなどから導入が進んでいる。一方で、公共交通機関、家電量販店、行政機関の3分野は、2022年になって顕著に利用が伸びている

Visaのタッチ決済の導入が進む背景

 Suicaや楽天Edy、WAONといった先行する電子マネーがある中で、Visaのタッチ決済の普及のカギとなるのが公共交通機関だ。Visaでは、鉄道、バス、フェリー会社と協力し、2022年6月末時点で、全国の26のVisaのタッチ決済の実証実験を進めている。

 日本では全国に交通系ICカードが普及しているが、地方の鉄道やバス路線では、いまだに現金のみの支払いという路線も存在する。こうした地方路線にSuicaなどの交通系ICカードを導入すると、維持費が高額になり、採算が合わない可能性がある。沖縄県の「OKICA」など、地域独自の交通系ICカードを導入している例もあるが、県外から来る観光客には対応できない。

 こうした地方路線で、国際ブランドのVisaのタッチ決済を使えるようにすれば、システム導入費用を抑えつつ、キャッシュレス化を進められる。さらに、鉄道なら磁気券の取り扱い減少でコスト削減効果が見込める他、バスでは運転士が現金を集計する負担を減らせるなど、業務の効率化にもつながる。

Visaのタッチ決済 Visaでは全国の公共交通機関でタッチ決済の導入を進めている。6月29日には西武バスでの実証実験の開始も発表されたため、全国で26の実証実験を展開していることになる

 また、タッチ決済はインバウンドとの相性も良い。タッチ決済で公共交通機関に乗車するシステムは「オープンループ」と呼ばれるが、既に米国、英国、シンガポール、オーストラリアなどの欧米各国の都市部で導入されている。訪日外国人にとっては慣れた方法で、Visaブランドのクレジットカードさえあれば、現地で交通系カードを購入する手間もなく利用できるため、利便性の向上につながる。

 Visaのタッチ決済の導入により、地域経済への波及効果も期待できるという。Visaが実施した調査では、ロンドンでタッチ決済乗車券を利用した乗客は、小売り店などでも一般利用者と比べて2倍の決済件数があり、決済金額も70%上回ったという。また、ニューヨークでは地下鉄でのVisaのタッチ決済の導入後、駅周辺でのカード利用件数が15%アップしたとしている。

Visaのタッチ決済 公共交通機関でタッチ決済を利用する人は、Visaの決済件数、金額も多くなる傾向にあるという

“キャッシュレスの島”を目指す沖縄

 国内におけるVisaのタッチ決済の導入事例の中で注目すべき事例が沖縄県にある。世界的なリゾート地でもある沖縄では、沖縄県が決済機器に補助金を出すなど、県を挙げてキャッシュレス決済の導入を進めている。

 沖縄でキャッシュレス導入の旗振り役を務める1社が琉球銀行だ。2017年より、銀行本体がVisaの加盟店契約会社(アクワイアラー)となり、Visaなどの国際ブランドや電子マネーとQR決済の導入を進めている。

 琉球銀行では糸満市や名護市、宮古島市、石垣市、与那国町など17の県内市町村とキャッシュレス推進連携協定を締結しており、沖縄本島と離島の両方でキャッシュレス決済の導入を進めている。

Visaのタッチ決済 沖縄の地銀、琉球銀行はVisaのタッチ決済によるキャッシュレス化を推進している

 中でも、与那国町(与那国島)の例はキャッシュレス化が急速に進んだ事例となっている。日本最西端の島である与那国島では、もともとキャッシュレス決済対応は空港空港のカウンターのみという現金社会だった。2017年に琉球銀行と協定締結を締結した後、現在では旅館、民宿、レンタカー、ガソリンスタンドなど50を超える店舗でキャッシュレス決済に対応。来島客がSNSで「キャッシュレスアイランド」と話題にするほど浸透が進んでいる。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月12日 更新
  1. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」は何が違う? 3万円の価格差をスペックから検証する (2026年03月10日)
  2. 庵野秀明、GACKT、ひろゆき、ドワンゴ川上らが集結 “カメラのいらないテレビ電話”をうたう新サービス「POPOPO」18日に発表へ (2026年03月11日)
  3. 「iPad Air(M4)」実機レビュー 「もうProじゃなくてもいい」と思えた性能、だからこそ欲しかったFace ID (2026年03月09日)
  4. 「iPhone 17e」を試して分かった“16eからの進化” ストレージ倍増と実質値下げで「10万円以下の決定版」に (2026年03月09日)
  5. 自分で修理できるスマホ「Fairphone(6th Gen.)」を見てきた わずか10分で画面交換、2033年まで長期サポート (2026年03月10日)
  6. 携帯キャリアの通信9サービス、総合満足度はpovoがトップ サブブランド勢が好調 MMDが調査 (2026年03月10日)
  7. キーボード付きスマホ「Titan 2 Elite」がUnihertzから登場 実機に触れて分かった“絶妙なサイズ感” (2026年03月09日)
  8. 60ms未満の音声遅延速度で端末をワイヤレス化「UGREEN USBオーディオトランスミッター」が30%オフの2309円に (2026年03月09日)
  9. 「Galaxy S26」シリーズはどこが安い? 一括価格と2年間の実質負担額を比較、お得なキャリアはココだ (2026年03月11日)
  10. どこでもウユニ塩湖? 3COINSで550円の「スマホ用反射ミラークリップ」を試す (2026年03月12日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年