総務省がKDDIと沖縄セルラー電話からの「重大な事故報告書」を受領 7月2日〜4日の通信障害について

» 2022年07月28日 18時20分 公開
[井上翔ITmedia]

 総務省は7月28日、KDDIと沖縄セルラー電話から電気通信事業法第28に基づく「重大な事故報告書」を受領したことを発表した。提出された報告書は、7月2日1時35分頃に両社の携帯ネットワークにおいて発生した通信障害に関するもので、同省では内容を精査した上で今後の対応を検討する。

影響を受けた利用者数

 総務省の資料によると、今回の障害の影響を受けた利用者数(推計値)は以下の通りとなっている。

  • KDDI
    • 音声通話:約2278万人
    • データ通信:765万人以上
  • 沖縄セルラー電話
    • 音声通話:約38万人
    • データ通信:10万人以上
影響数 7月2日に発生した通信障害の影響を受けた利用者数(総務省資料より、PDF形式)

「重大な事故」について(参考)

 電気通信事業法第28条では、電気通信事業者が以下のいずれかの事象に遭遇した場合、遅滞なく総務大臣(総務省)に報告を行うように求めている。報告を行わなかった場合、または虚偽報告を行った場合は30万円以下の罰金を科されることがある。

  1. 電気通信事業法第8条第2項(※1)に基づいて、電気通信業務を一時的に停止した場合
  2. 「通信の秘密の漏えい」など、総務省令に基づく「重大な事故」が発生した場合

(※1)災害を始めとする「非常事態」が発生、または発生しそうな場合に、緊急通信を優先するために電気通信業務の一部を停止できる(停止の基準は総務省令で定める)

 2つ目の事象の「重大な事故」は、電気通信事業法施行規則第58条に以下の通り基準が定められている。

【一定の時間、一定の人数が通信不可/困難となった場合】

  • 緊急通報(110/118/119番への発信)に対応する音声伝送サービス
    • 1時間以上かつ3万人以上に影響が出た場合に該当
  • 緊急通報に対応しない音声伝送サービス
    • 2時間以上かつ3万人以上、または1時間以上かつ10万人以上に影響が出た場合に該当
  • セルラーLPWA/アンライセンスLPWAサービス
    • 12時間以上かつ3万人以上、または2時間以上かつ100万人以上に影響が出た場合に該当
  • 無料で提供されるインターネット関連サービス(※2)
    • 24時間以上かつ10万人以上、または12時間以上かつ100万人以上に影響が出た場合に該当
  • 上記に当てはまらない電気通信サービス
    • 2時間以上かつ3万人以上、または1時間以上かつ100万人以上に影響が出た場合に該当

(※2)利用者からサービスの対価として料金を受け取らないもの。ただし、無料の音声伝送サービスは除く(音声伝送サービス用の基準を適用する)

基準 総務大臣への報告が求められる「重大な事故」の基準の早見表(出典:総務省)

【重要設備の故障の場合】

 通信衛星、海底ケーブルや両者に準ずる重要設備の故障した場合、それが原因で全通信が2時間以上途絶すると重大な事故に該当する。

重大な事故などの報告期限について

 電気通信事業法第28条に基づく報告は、その事実を把握した時点で速やかに行う必要がある。正式報告の提出については、電気通信事業法施行規則第57条によって以下の通り期限が定められている。

  • 電気通信事業法第8条第2項に基づく業務の一時停止:停止した日から30日
  • 通信の秘密の漏えい:秘密の漏えいを知った日から30日以内
  • 重大な事故:重大な事故が発生した日から30日以内

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年03月29日 更新
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年