楽天モバイル0円廃止の影響でIIJmioも好調 音声eSIMは「ドコモと協議している」と勝社長

» 2022年08月05日 15時37分 公開
[田中聡,ITmedia]

 インターネットイニシアティブが8月5日、2022年度第1四半期の決算を発表した。売上は581.9億円(+9.8%)、営業利益は50.3億円(+15.3%)で増収増益となった。勝栄二郎社長は「法人ネットワークのニーズが根強い。モバイルも法人が非常に伸びている」と法人向け事業が好調であることを強調した。渡井昭久CFOも「ネットワークとシステムインテグレーションがおのおの増益している」と話す。

IIJ 左から渡井昭久CFO、勝栄二郎社長、鈴木幸一会長
IIJ 第1四半期の業績。ネットワークサービスへの需要が増えて、計画通りの順調なスタートを切った

 モバイル事業については「旧プランから新プランへの移り変わりがあるので若干の減収(1Q21の105.8億円→1Q22の103.7億円)になっている」(渡井氏)ものの、契約数は法人も個人も伸びている。2022年6月末時点のモバイル回線数は361.6万回線となり、うち法人モバイルが145.7万、IIJmio(個人)が112.6万、MVNEが103.2万に上る。法人モバイルは売上も前期比+2.9億円の26.3億円と好調だ。

IIJ モバイル回線数は法人と個人ともに順調に伸びている

 IIJmioの契約数は、2021年度第4四半期から3.6万回線の純増となった。2021年度の各四半期は2万未満の純増だったので、好調ぶりがうかがえる。その大きな要因が、2022年5月に「0円廃止」を発表した楽天モバイルの影響だ。

 勝氏は「楽天が0円をやめて、その乗り換えでIIJにも来ている」と話す。今回の第1四半期からは外れるが、7月にKDDIが通信障害を起こしたことで、「携帯を新規で持ちたいというニーズが出てきている」という。勝氏によると、KDDIの通信障害が起きた翌日、IIJmioのeSIMが8倍多く契約されたそうだ。通信障害によってサブ回線を持つ機運が高まっており、「こういうニーズはこれからも強くなっていく」と勝氏はみる。

 一方、IIJmioのeSIMは現在、フルMVNOの仕組みを活用している関係で、データ通信のみにとどまっており、音声通話は利用できない。データSIMでは緊急通報が行えないため、障害に備えたサブ回線を持つなら、音声回線も欲しいところ。音声対応のeSIMは、NTTドコモがMVNO向けに卸提供しており、日本通信がその枠組みでeSIMを提供している。IIJでも「ライトMVNOとして、音声が使えないかをドコモと協議している」と勝氏は話すが、「協議を始めたばかり」ということもあり、提供時期は未定としている。

 IIJmioではドコモ回線に加えてKDDI回線のサービスも提供しているため、IIJもKDDIの通信障害の影響を受けた。影響範囲、すなわちKDDI回線の契約数は「非公表」(勝氏)だが、「回線数はドコモの方が相当多いので、影響回線数はドコモよりは少ないとだけ申し上げる」とした。

 また、KDDIがおわび返金の200円を発表したその日に、IIJもKDDI回線の契約者に対し200円(不課税)のおわび返金を行うことを発表。IIJでもKDDIと同様、契約約款では、通信サービスを24時間以上継続して利用できない場合、その日数分の基本料金を返金することが定められている。しかしKDDIが約款返金の対象とした「音声サービスのみを契約しているユーザー」はIIJmioではほぼいないため、自主的なおわび返金とした。

 返金額はKDDIと足並みをそろえて200円にした。おわび返金は「早く実現したかった」(勝氏)ので、もともとKDDIに合わせる意向だったようだ。厳密に計算するなら、IIJmioの方がauよりは基本料金が安いので、200円を下回るはずだが、au回線の規模が小さいことと、ユーザーへの印象を考えてKDDIとそろえたのだろう。勝氏も「圧倒的にドコモの回線が多いので、見舞金の影響はそれほどない」と話す。

 おわび返金200円の原資はIIJの持ち出しによるものだが、「KDDIとは補償の問題について協議を始めている」(勝氏)とのこと。

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