メルカリは11月8日、FinTech事業に関する事業戦略発表会を開催。同日からメルペイがクレジットカード「メルカード」を提供することを発表した。メルカリ内での支払いに利用することで最大4%、それ以外の加盟店での利用は常時1%のポイント還元となり、特にメルカリ内での利用に強い。発行は無料で、既にメルカリで本人確認を行っていれば、即座に発行ができる。
メルカリは、過去に使ったことがある人も含めると累計利用者数が約4800万人に達し、月間利用者数も2075万人に到達。累計の流通総額は約3.8兆円まで拡大した。2021年からは個人だけでなく事業者の出品にも対応し、さらなる成長を目指している。
このメルカリの成長に支えられて、同社の決済サービス「メルペイ」も順調に拡大。2019年のサービス開始以来、政府のキャッシュレス施策も追い風に、サービスを拡大してきた。メルカリアプリ内からコード決済やiDによるスマートフォン決済などの利用が可能で、さらに後払い決済サービスのメルペイスマート払い、メルペイ定額払いも提供している。
後払いサービスの利用には与信審査が必要だが、従来の信用情報や年収などの属性情報のみを使ったものとは異なり、AIを活用した与信となっている。メルカリでの売買やメルペイの利用実績などのデータを活用することで精度を高め、FinTech事業の大きな柱となった。
メルカリとメルペイのクロスユースにおけるシナジーでは、この与信サービスに加えて、後払いの精算額(返済額)の半分以上でメルカリの売上金が使われているという点もある。メルカリで不要品を売り、それで新たに欲しいものを購入する、といった循環が生まれているという。
後払いの利用には本人確認が必要だが、既に1216万人が実施済み。この本人確認済みユーザーが、新たに発行するメルカードの潜在顧客となりうる。
メルカードは、メルペイスマート払い、定額払いという後払いサービスの仕組みを利用しており、既に本人確認済みで後払いを利用しているユーザーなら、新たな本人確認や与信は不要。そのままカード発行の申し込みができる。
発行されるカードは、配色や文字情報をそぎ落としたデザインということで、表面にメルカリロゴとICチップがある以外はシンプルなデザイン。メルカリロゴはホログラムになっており、見る角度によって色が変わる。裏面にもカード番号や期限などの情報がないナンバーレス仕様になっている。
利便性を追求したとのことで、クレジットカードのタッチ決済もサポート。国際ブランドはJCBで、オンライン、オフラインを合わせて3900万のJCB加盟店で利用できる。
カード番号や利用履歴の確認はメルカリアプリ上で可能。利用履歴はメルカードだけでなく、コード決済、iD決済、ネット決済をまとめて一覧表示できる。
利用額の精算は銀行口座からの引き落としになるが、引き落とし日以外にも返済が可能で、メルカリの売上金を充当することもできる。売上があった日にそのまま返済したり、臨時収入があった日に多めに返済したりするなど、返済方法が柔軟な点も特徴。メルカリの売上金の方が多ければ、その月のメルカードの引き落とし額をゼロにする、といったことも可能だ。
この仕組みは、メルペイの後払いサービスでも既に提供されており、これを踏襲する。あくまで後払いサービスをオンライン・オフラインのJCB加盟店でも使えるようにするための物理カード、というのがメルカードの位置付けだ。
そのため、常時還元のポイントもメルカードだけでなく、コード決済やiDでの後払い設定でも付与される。
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