IIJmioが“格安SIMのセット端末”を拡充する理由 スマホ以外も販売、回線契約なしでもOKMVNOに聞く(4/4 ページ)

» 2022年12月15日 08時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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おサイフケータイの有無で売れ行きは大きく変わる

―― moto g52j 5Gは、モトローラのオープンマーケットモデルとして、初めておサイフケータイに対応した端末だったと思います。やはり、おサイフケータイの有無で売れ行きは変わるのでしょうか。

永野氏 歴然と変わります。ローエンドだとそこまでは変わらないのですが、ミドルレンジ以上になると、あるとないとでは数字の桁が変わります。

久保田氏 moto g52j 5Gにもしおサイフケータイがついていなかったら、ここまで食い込めなかったと思います。その意味で、モトローラが日本専用モデルを出したことには、大きな意義がありました。これは、実績を見てもそう言えます。DSDS(デュアルSIM/デュアルスタンバイ)やeSIM、5Gなど、いろいろな機能追加を見てきましたが、やはりおサイフケータイは大きいですね。利用されている方の市場が大きいのだと思います。

IIJmio IIJにとってもおサイフケータイ対応のインパクトが大きかった「moto g52j 5G」

―― 言いづらいかもしれませんが、逆にこれは入れてみたけどイマイチだったなぁというものはありますか。

久保田氏 (笑)。ただ、目に見えるような失敗はあまりないですね。しいて挙げるとすると、チャレンジング商品の中で拡充したキーボードです。スマホとの親和性はそこそこあると思っていましたが、予想より反応が少なかった。価格なのか、物として需要がないのか、売り方の問題なのか。目下様子を見ながら、検討をしているところです。

回線契約のないユーザーにも端末を販売した狙い

―― 今年の7月から、回線契約のないユーザーも端末を購入できるようになりました。この狙いはどこにあったのでしょうか。

永野氏 幅広いライアナップを持っていて、IIJでしか扱っていない端末も増えています。また、先ほどもお話ししたように、IIJでしか扱っていないフラグシップモデルも多い。そうなると、あまり量販店に行かない方がオンラインで比較した際に、ほとんどの端末を見比べられるのがIIJということになります。SIMフリースマホをご検討いただく全てのユーザーに、幅広く見ていただきたいという思いがありました。

 通信と端末を分離するという流れもあります。以前は回線契約の満了が乗り換えの理由になっていましたが、自分で買い替えのタイミングを決めていくとなると、端末を理由にした乗り換えも増えてきます。IIJmioとのお付き合いを始める最初のきっかけが、通信契約だけでなく、端末を買ってもらうというのでもいい。そこで、まずは端末だけをご購入いただけるよう、間口を広くしました。

―― 法令上、単体販売しなければいけないというような話ではないんですね。

永野氏 そうではありません。結果的に見るとキャリアに近い形にはなっていますが、そこが狙いではありません。

辻氏 まずは端末で人を招いて、そこにサービスをいかに乗せていくかという考え方ですね。

―― 今後についてですが、スマートウォッチやVRグラス、イヤフォンなどの周辺機器とスマートフォンをセットで販売するといったようなことはお考えでしょうか。

永野氏 やりたいですね。ただ、通信会社なので、ECサイトのように柔軟に物を売る仕組みができていません。その課題を乗り越えながらになります。挙げていただいたセットの他にも、今だと久々にAndroidタブレットが出てきているので、Wi-Fiルーターとセットにして、通信を使っていただけるようにする取り組みはしています。ノートPCも単体で売り出しましたが、IIJで買ってもらえる理由付けとして、Wi-Fiルーターをセットにしています。

久保田氏 先日発売したXiaomiの「Redmi Pad」も、Wi-Fiルーターセットを出しました。その前は、「OPPO Pad Air」ともやりました。

永野氏 スマホだけだったメーカーも、周辺機器を出し、一緒に使ってもらうというようなことをやっています。将来的には、ユーザーのデジタルライフを想定しながら、こういうシーンにはこういう使い方があるというような提案を含めてやっていきたい。法人向けではIoTのサービスもやっているので、そういうものを合流させながら、デジタルライフを楽しんでいただけるようなパッケージを打ち出していきたいですね。

取材を終えて:端末バリエーションを広げることが優位性に

 インタビューでも語られていたように、ネットワークとスマートフォンなどの端末は、通信サービスの両輪になるもの。どちらが欠けていても、サービスは利用できない。MVNOが台頭し始めたころは、オープンマーケットの端末が数えるほどしかなかった。販路も限定されていたため、IIJが自ら端末を販売し始めたのは自然な判断だったといえるだろう。端末割引を提供することで回線契約のフックにもなるため、MNO、MVNO問わず、通信事業者と端末販売の相性はいい。大手量販店などと比べると規模は小さいが、バリエーションを広げることで競合にはない魅力も出せている。

 特にハイエンドモデルは、取り扱っているMVNO自体が少ないため、メーカーにとっても貴重な販路の1つといえそうだ。一方で、ここまでラインアップを広げられたのは、“IIJだから”という部分も大きい。通信サービスの契約に直接つながらないデバイスを販売できているのは、ガジェットに造詣の深い担当者の熱意があってこそ。技術に明るい“濃いユーザー”が集まっているのも、とがったデバイスの販売にはプラスに働いているようだ。スマホを軸にした周辺機器のセット販売など、IIJならではの提案にも期待したい。

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