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ドコモ井伊社長インタビュー:楽天とは「芸風が違う」O-RAN戦略/d払いがPayPayに追い付くには:MWC Barcelona 2023(2/3 ページ)

» 2023年03月05日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]

YouTubeを筆頭に映像コンテンツへのアクセスが伸びている

―― 海外事業はこれから伸ばしていく分野ですが、国内通信事業も値下げの影響が一段落してARPUが底打ちしそうな気配があります。データ使用量増加の影響だと思いますが、何かこれを加速させる手はありますか。

井伊氏 ARPUは4000円台で底にくるんじゃないかと思っています。第4四半期の決算で大体見えてきますが、4000円を切らなければ大体落ち着いてきます。これは、中大容量がしっかり売れているから。ahamoで言えば大盛りや、ギガホのような無制限もちゃんと売れています。日本は人が増えていないので、回線の数がやたらと右肩上がりになるといったことはありません。ここは他キャリアとの取り合いを常にやっている状況です。

 新規需要があるのは若い人たち、15歳以下の小中学生ですが、一方で死亡解約もばかにならない数です。高齢化社会の人口減を表している。その解約と新たにスマートフォンを持つ人のプラスマイナスを見ると、ものすごく増えるということはないでしょう。ARPUを上げていくのは、大容量を使っていただくしかないということです。あるいは、別の付加価値サービス――例えば補償サービスのようなものですね。それがしっかり売れていけば、安定してきます。

―― グローバルでも大容量がトレンドですが、やはり動画でしょうか。

井伊氏 映像コンテンツへのアクセスは伸びていますね。日本だとYouTubeの無料コンテンツ。それ以外にももちろんありますが、やはり映像です。映像をみんなで家で見るというのではなく、外で見ることが増えています。エンターテインメントはもちろんですが、広告も動画になっていて、企業も情報発信をYouTubeでやる時代ですから。いろいろなところで動画のニーズが出ています。

 動画にどこからでもアクセスするというのが、若い世代のライフスタイルですね。家に帰ってから見るというのは昭和の人かもしれない(笑)。若い人は外で時間つぶしのために動画を見るわけで、そこで大容量が使えないと話にならない。家に光回線なんていらないというわけで、無制限のニーズはあると思います。

 もちろん、だからと言って1人で何TBも使うかというとそうではありません。100GBぐらいあればOK、という人はかなり多いですね。広告でエンドユーザーからお金を取らない映像の進展が、容量を増やしています。映像課金もゼロではありませんが、ただで見られる良質なコンテンツも結構あるんですよね。ああいうものが引っ張っています。

 若い人のライフスタイル、特に20台以下のそれには、正直おじさんではついていけません。ですから、若い人にマーケティングやこれからのトレンドを作ってもらわなければなりません。

d払いはPayPayをベンチマークにしている

―― スマートライフカンパニーとして、上位レイヤーのサービスにも力を入れていますが、必ずしも使い勝手がいいものだけではありません。とはいえ、例えばd払いのように伸びしろがあるサービスもありますが、こういったものはどう改善していくのでしょうか。

井伊氏 d払いですが、これは完全にPayPayをベンチマークにしていて、彼らと比べてどれだけ劣っているかをしっかり見て、対応していきます。ただ、彼らは、PayPayを改善するための体制がすごくて、相当な人とお金をつぎ込み、非常に速いサイクルでどんどんアップデートをかけています。

 あれと同じことをやると、このビジネスモデルは赤字になってしまいます。今、d払いは取りあえず黒字運営していますが、どこまでお金をつぎ込んで普及とバージョンアップさせていくかは(判断が)難しい。経営的に見ると、100億円オーダーの話になってきますから。

 ただ、d払いが黒字経営というのは言い訳にはなりません。使い勝手やUI(ユーザーインタフェース)で劣後しているところをチェックして、対策を打ち続けています。(d払いの)以前はだいぶひどかったところからは戻してきていますが、PayPayはもっといい。アジャイルでシステムをバージョンアップしていくところの体制や人手の面で圧倒的にPayPayが強く、われわれがちょっとでも改善したらそれを凌駕(りょうが)してきます。そういうリーダーがいるので、キャッチアップしていく形で近づけようとしています。

井伊基之 d払いは、使い勝手を改善していく方針を示した

新しいdカードではデータを活用して購買行動を可視化できる

―― d払い以外ではいかがですか。

井伊氏 決済以外だと、ドコモでんきが今、新規契約を停止しているので、それを再開するかどうかという判断があります。(エネルギー高騰で)でんきは、やればやるだけ赤字になってしまうので。あとはdカードですね。dカードは自分たちで運営する方向に進めていて、「新dカード」をどんどん作っています。

 新dカードで何をやっているかというと、自分たちで仕組みを持っているので、トランザクションのデータを自分たちで活用できます。他社から借りていると、購買データが開示されないので、データドリブンのマーケティングソリューションを作ることができない。新dカードなら、d払いの決済もdカードの決済も全てトランザクションのデータになります。加盟店のPOSデータとひも付けると、商品名単位で決済が分かるというわけですね。

 現段階では額しか分からないところから内訳が分かるようになれば、誰が、いつ、何を、どんな周期で買ったかが分かり、購買行動を可視化できます。その情報を加盟店や、物を開発するメーカーさんに対して提供することができる。例えば、dポイント会員の一人一人を狙い撃ちする形で広告が打てるようになり、ヒット率が高くなります。そこに対し、われわれは広告原資をいただくことができます。

 そういうデジタルマーケをやるには、会員基盤が大事になります。そういう形で会員基盤のデータをマネタイズしていくのが、まっとうなデータドリブン経営。単純にカードを使ってもらって手数料いくらという形で稼いでいるのは、プリミティブ(原始的)なモデルですが、購買行動の可視化でマーケティングプラットフォームを作り、そこから広告料収入を得る。それを伸ばしていきたいですね。

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