―― MWCでは、主に中国メーカーの端末も発表が多かったと思います。一方でドコモのラインアップを見ると、少し顔ぶれが固定化しすぎているような印象もあります。他社と横並びになってしまうと、どうしてもインセンティブを付けた割引競争になってしまうのではないでしょうか。
井伊氏 そこは反省しています。ただ、iPhoneにしてもAndroidにしても、あるもの(メーカーが開発したモデル)を売るモデルに変わってしまった。オリジナリティーの高いデバイスができていないから、他社と同じになってしまったんですよね。
今後は、できればXRのところで新しいデバイスを増やしていきたい。スマホはスマホとしてありつつ、もっとウェアラブルなものです。それがグラスなのかウォッチなのかは別にしても、要するにサービスと連動したデバイスの開発と提供を今、準備しています。詳しくは(NTTコノキューの)丸山社長に聞いてください(笑)。ただ、たぶんファーストバージョンのようなものは、来年度内に出したいと言っていました。僕はもっと早い方がいいと思っていますが、物を作るのは準備もいりますからね。
―― なるほど。ウェアラブル的なものということは、グラス以外もありそうですね。
井伊氏 デバイスは、もっとちゃんとやろうと思っています。今は、ヘルスケアをやるにしても、何をやるにしてもデバイスがない。例えば、うちで言うと、キッズケータイはあるのですが、キッズ用のスマートウォッチがない。そういうものが漏れています。こういったデバイスは、ただ単に端末を売ってもしょうがない。サービスと連動することで意味が出てきます。それを今、コノキューに頑張れ、若いのを集めて作れと言っています。
O-RANのビジネス展開は、ネットワークをベンダー任せにしてこなかったドコモの得意分野を生かしたもの。世界各国が5Gへの切り替えで設備を入れ替えている今こそが、チャンスのときといえる。井伊氏が語っていた100億円規模という数値は、実現可能な目標と見てよさそうだ。
国内事業では、d払いやdカードなどの決済分野に注力していることが分かる。手数料で稼ぐのではなく、データをいかにうまく活用していけるかが、ここでのカギになりそうだ。端末に関しては、スマートグラス、スマートウォッチに開発の軸をシフトさせている様子がうかがえた。NTTコノキューから登場するという新モデルにも、期待したい。
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