3月17日、総務省において「消費者保護ルールの在り方に関する検討会(第45回)/競争ルールの検証に関するWG(第40回) 合同会合」が行われたようだ。
今回は代理店ヒヤリングということで、完全非公開で行われたとみられる。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2022年3月18日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
総務省のサイトに上がっている公開資料からしか、議論された内容はうかがい知れない。
資料によると、2月28日に開催された会合での意見や質問を受けて、各社から回答が出ているといった感じだ。
その意見とは「ショップにおける無理なMNP評価が諸悪の根源なので、キャリアとして見直すべきではないか」「キャリアショップは地域でデジタルデバイス解消拠点であり、キャリアからの評価項目にこうした活動は含まれているのか」というものであった。
それに対して
NTTドコモ
「代理店の評価にあたっては、市場環境を踏まえて季節や時期による販売トレンドや直近の販売実績を考慮した目標水準を設定した上で代理店の意見も聞きつつ目標水準を決定しております」
KDDI
「弊社における販売代理店の評価制度については、ショップ間における過度な競争となる可能性があることを考慮し、従来の相対評価によるランク付け、及びランクに 伴う支援金を廃止し、一定の固定型支援金に加え、販売代理店自身が、過去の販売実績等の実態を踏まえて選択する目標に応じたもの(絶対評価)へ、2022年6月より改定しております」
ソフトバンク
「構成員限り」
楽天モバイル
「当社においては回線契約におけるポートイン指標に対しての評価設定は行っておりません。新規電話番号での契約、MVNOからのプラン変更、ポートインに対する手数料はいずれも同額です」
という回答であった。ソフトバンクが「構成員限り」という回答していたのが、とても気になるが、もう一つ、看過できなかったのが楽天モバイルだ。上記の文に続くかたちで、
「なお、販売代理店に対するポートイン重視の店舗評価指標は、端末の安値入手を目的とした当社や他の事業者を踏み台とするMNP転出を助長していると考えております。その結果、当社においては、全く通信を利用することなく短期間で解約する利用者が多数存在する等看過できない状況であることから、ポートイン重視の店舗評価指標を設定している事業者においてはそのような状況が発生することがないよう改善いただきたく存じます」との意見があった。
ここでふと思い出した。知り合いのライターさんが、親のiPhoneをドコモで購入しようとした際、「その場で楽天モバイルをオンラインで契約して、すぐにMNPでポートインしてくればいい」とドコモショップで勧められたという話だ。
単なる端末購入ではなく、MNP転入ということで、iPhoneの価格を半額できると言われたそうだ。
ドコモショップにとってみれば、MNP転入で評価を稼げるのだから、こうしたスキームを利用してくれたほうがありがたいわけだ。
いまの状態を変えるために「MNP転入でキャリアショップを評価すべきではない」という意見が出るのも無理はないが、顧客獲得の競争をしていることを考えれば、MNP転入で評価するのは当然とも言える。
そもそも、総務省がMNPを促進させているのだから、ここでとやかく言えることはないだろう。今後、ワンストップでMNPできる環境がスタートすれば、ますますMNPでの顧客獲得合戦は熾烈となる。
総務省としてはMNPを促進させたいのは山々だが、一方でMNP獲得合戦による過剰な端末割引は規制させたいという、おおきな矛盾をどうやって解消させていくのか。総務省自身でも答えは見つかっていないのではないだろうか。
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