セット販売での値引きに「覚悟」を、5Gはサービス開始直後からMVNOに開放を 総務省の有識者会議は最終局面へ(1/2 ページ)

» 2019年12月18日 10時49分 公開
[佐野正弘ITmedia]

 総務省は2019年12月2日に有識者会議「モバイル市場の競争環境に関する研究会」の第22回会合を実施。1年以上にわたって実施された同研究会の、最終報告書の骨子案に関する議論が進められた。

モバイル市場の競争環境に関する研究会 「モバイル市場の競争環境に関する研究会」の第22回会合より。長きにわたった議論の最終報告書案が公表された

セット販売は強く警戒、販売代理店は地域性を考慮した評価を

 総務省の説明によると、最終報告書案では大きく分けて、3つの内容に関する方向性が示されている。1つは利用者料金に関する事項。2つ目は、5G時代を見据えた事業者間の競争条件に関する事項。そして3つ目は、一連の検討会の内容をフォローアップしていくことだ。

 利用者料金に関しては、同研究会などの議論から提示された「モバイルサービス等の適正化に向けた緊急提言」や、それを受けて実施された2019年10月の電気通信事業法改正などによって、分離プランの義務化や端末値引きの規制、いわゆる“2年縛り”への規制などさまざまな規制がなされている。そこで報告書案では、携帯電話事業者や販売代理店に改正法の順守を理解してもらう取り組みが必要とした他、情報窓口を設けて事業法に違反する事例の通報を受け付けていくとしている。

 報告書案には他にも、SIMロックの解除や番号ポータビリティ、中古端末など、これまでの議論に関する内容が盛り込まれているが、中でも構成員から言及された要素の1つは販売代理店の役割に関してだ。今回の改正法は販売代理店のビジネスを大きく覆すものとなる一方で、報告書案では販売代理店が利用者にとって、地域の拠点となる重要な役割を持つとして、評価方法の見直しや、滞留時間に対して手数料を取るなど新しいビジネスモデルの検討が必要とされている。

 だが構成員からは、「地域によって販売代理店に求められることは違う。1種類のタイプ(の評価やビジネス)に絞ってしまうと地域に合わないことも出てくる」(情報通信消費者ネットワークの長田三紀氏)、「他キャリアの客にも来店してもらうことで絶大な信頼を得る店舗がある一方、都心の店舗は来店者が多すぎてそんなことはできない。(携帯電話会社は)同じ指標で差を測りたがる所から、そろそろ脱却してもらいたい」(野村総合研究所 パートナーの北俊一氏)といったように、地域や店舗によって異なるニーズに応じた取り組みを評価する仕組みが必要との意見が相次いでいた。

 そしてもう1つはセット販売だ。最近では固定ブロードバンドサービスとのセットだけでなく、決済やインターネットサービスなどをセットにすることでお得になる仕組みに力を入れる携帯電話会社が増えている。これについても報告書案では「料金体系が分かりづらく不明確になっていること、他のサービスの拘束力を用いた利用者の囲い込みなどの懸念があることが指摘されている」と記されており、携帯電話会社に加え、セット対象となる業界の動向も注視していく方針が示されている。

 明治大学 名誉教授の新美育文氏はこの点について、過去の「ダイヤルQ2」や、最近の他業界でのコラボレーションによる料金に関する判決事例などを挙げ、問題が起きたときはセットでサービスを提供する双方の事業者に責任が及ぶ可能性が極めて高いと説明。「セットの仕方いかんによっては共同責任がかかってくることを覚悟してほしい。コラボして効率を高めるのは非常にいいことだが、どこまで腹をくくってコラボするのか見極める必要がある」と、セット販売による値引き施策への警鐘を鳴らしている。

モバイル市場の競争環境に関する研究会 2019年12月16日に、KDDIはローソンやロイヤリティマーケティングと資本・業務提携し、ポイントプログラムを「Pontaポイント」に統合するなど連携強化の姿勢を示したが、そうした携帯電話と異業種の連携が進み、サービスの一体提供による囲い込みを総務省は強く警戒しているようだ
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