ChatGPT、Microsoft Bing、Google Bardの動向まとめ 今、対話型AIサービスで起きていること(2/2 ページ)

» 2023年03月30日 11時16分 公開
[山本竜也ITmedia]
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Google関連:Bardを英米で一般公開も、「虚偽の情報を提供することもある」

 AI関連で後れを取っていたGoogleにも動きがありました。3月14日(現地時間)に、Google WorkspaceへのAI機能の組み込みを発表。直後に発表されたMicrosoft 365 Copilotのインパクトにやや埋もれてしまった感もありますが、こちらもGmailの下書きドキュメントでの校正、執筆、スプレッドシートの自動補完などを行えるというものです。文章作成では、フォーマルなものや友人との気安いトーンなど、文体をさまざまに指定できるとしています。

対話型AIサービス Google WorkspaceにAI機能を組み込むことを発表したGoogle

 そして3月21日(米国時間)には、2月に発表されていた「Bard」を英国と米国で一般公開しました。BardはGoogleが開発している大規模言語モデル「LaMDA」の軽量版を搭載した会話形AI。ChatGPTのように質問された内容に関して、自然な言葉で応答します。また、Webから情報を探してくるのは新しいBingと同じ。この他、「Google it」ボタンから、回答に関連した情報をWebで検索できるようにもなっています。

対話型AIサービス 英米でBardを一般公開。ユーザーからのフィードバックを募っている

 Bardらしい特徴としては、多くの場合、複数のドラフト(草稿)を提示するとのこと。質問者はそこから1つを選んでフォローアップの質問を行うことが可能です。

 Bardは、発表時に例として提示していた回答内容の誤りが指摘され、親会社Alphabetの株価が一時8%下落するなどの事態になっていました。そのためなのか、Bardは完璧ではなく「自信を持って提示しながら、不正確、誤解を招く、または虚偽の情報を提供することもある」と繰り返し強調しています。しかしながら、「人間の生産性、創造性、好奇心を飛躍的に向上させるなど、信じられないほどの利点もある」ともしており、公開することで広く一般の人からのフィードバックを集めることを目的としているようです。

その他:Adobeも画像生成AIサービスを提供

 これ以外にも、3月21日(米国時間)にはAdobeがジェネレーティブAIの「Adobe Firefly」を発表しています。短いプロンプト(文章)を入力し、それに対応する画像を生成するのは他の画像生成AIと同じですが、他の画像生成AIがネットから広く画像を取得し学習に利用しているのに対し、Adobe Fireflyでは同社のストックフォトサービス「Adobe Stock」の画像を学習に利用しています。

 これにより、著作権的な問題をクリアし、企業などでも使いやすいサービスにしたい考えです。また、AIの学習用に画像を提供したコントリビューター(クリエイター)への報酬モデルも検討しており、Adobe Fireflyのβ版終了後に詳細を発表するとのことです。

対話型AIサービス Adobeも画像生成AIサービス「Adobe Firefly」を発表

 この他にも、対話型AIをはじめ、各種AI機能を搭載したサービスやアプリが毎日のように登場しています。そして、その成果物となるAIが生成した文章や画像などの取り扱いについてもさまざまなな議論が行われているところです。

 海外の著名なSF・ファンタジー雑誌Clarkesworld Magazineは、投稿される作品に関して、AIツールによって作成や支援が行われたものは受け付けないとのガイドラインを追加。米著作権局は、AIが生成したコンテンツについては著作権を認めないとのガイドラインを公開しました

一方で、全米脚本家組合は、脚本家がChatGPTのようなツールを使い脚本を作成しても構わないという方針を示しているとのこと。AIが作成した文章を資料として見なすという考えです。

 AIが生成した文章や画像でも、最終的に人の手が入れば許容するという方向に落ち着くのではと考えているのですが、その場合でもどこまで手を入れればOKとするのかは難しい問題でしょう。特に画像の場合は、いわゆる「トレパク」のような問題も出てきます。AIが生成した画像をトレースした場合、それはオリジナルとして認められるのかどうかなど判断に迷いそうです。

 ともあれ、AIサービスはまだまだ過渡期。今後の動向に注視していきたいところです。

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