さて、ドコモがiPhoneに続き、Android端末の認定中古端末を扱う理由は、通信分離化に伴う総務省のアクションプランにおける「中古端末を含めた端末流通市場の活性化」に対応するためだと考えられる。
もともとキャリアが下取りした端末は、これまで仲介業者を通じて海外市場へ売却されることが多かった。端末の分離化に伴って、その流れを変えるための取り組みも水面下で行われていた。今では本来なら海外に売却されていたものが、国内の整備業者に渡ることで中古でも流通されるようになりつつある。
ドコモは2019年から「スマホおかえしプログラム」を提供しているが、そこで十分な在庫を回収し、整備して市場に並べることを考えれば、現行の中古ラインアップは妥当といえる。
現時点ではキャリアのスマホラインアップや他の中古市場に影響を与えるかについては、大きな問題はないと考える。新品と中古の関係はもちろん、中古端末の設定価格もやや高価なこともあり、中古販売店との直接的な競合にはならないはずだ。
ドコモをはじめキャリアの中古端末は、補償サービスへの加入や端末の分割払いが可能な点や、回線値引きの組み合わせも利用できる点が魅力だ。中古ながら故障等の対応も迅速かつ安価に行える。
その一方で、キャリアが求めるスマートフォンの要件が変わってくるのではないだろうか。今後は回収したものを中古販売することを見越した「長期のアップデート」を行う機種を、各社求めるようになるのではないかと考える。
iPhoneやGalaxyのハイエンド機種は長期のアップデートを売りとしており、発売から3年が経過してもなおアップデートが継続されている。海外を見ても3年以上のアップデートやセキュリティパッチの配布を行うと公言したメーカーも少なくない。
このような取り組みを積極的に行うメーカー、もしくは対応してくれるメーカーの機種を選定することで、数年後に中古として販売しても、アップデート含めて安心して利用できるものとなってくる。
キャリアの中古端末を用いた戦略は、キャリアで販売される端末の寿命を伸ばすきっかけとなるのか、注目したい。
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