Androidスマートフォンの“寿命”がiPhoneよりも短い理由(1/3 ページ)

» 2022年10月27日 15時00分 公開
[はやぽんITmedia]

 近年、スマートフォンのアップデート期間の長さが注目されている。その中でも気になるのが、機種によってアップデート可能な回数や期間に差があることだ。特に、AndroidスマートフォンはiPhoneに比べて、アップデート期間が短い傾向にある。今回はスマートフォンをとりまくOSアップデートの実情、新たな取り組みについて考察する。

検証コストやプロセッサのサポート期間が短命の一因に

 一般的なAndroidスマートフォンのOSアップデートの流れとして、チップセットメーカーからそれぞれのプロセッサに最適化された、BSP(Board Support Package)が端末メーカーに配布されるところから始まる。

 これをもとに端末メーカーは自社端末に採用しているタッチパネル、通信モジュール、各種センサーをはじめとした構成機器のドライバー更新を行っていた。ここに通信キャリアの声も取り入れながら、OSのアップデートを行っていた。

 このような手順は複数の工程になる関係もあり、並行作業も難しいため、AndroidスマートフォンのOSアップデートが遅くなる一因にもなった。

 加えてプロセッサにもサポート期間が存在する。2年間はQualcommをはじめとしたチップセットベンダー側でも、最新のAndroidバージョンに対して検証などを行うものになる。ただ、サポート期間終了後はメーカーが独自に検証を行う必要がある。この部分のコストが大きいため、Pixelを除くと、3年以上のアップデートを行うスマホは少数になっていた。

AndroidスマホのアップデートはGoogleだけでは決められない

 Androidスマートフォンで3年以上の長期アップデートを実施した機種は少ない。過去の例を見ると、2013年発売のソニー Xperia Z1ではAndroid 4.2を搭載して販売されたが、2015年初頭に公開されたAndroid 5.1.1をもってアップデートは終了している。Androidスマホはおおむね2年間のサポートにとどまっている。

Xperia Z1 日本でも販売されたXperia Z1。ドコモとauで販売された当機種は海外版と異なり、Android 5.0へのアップデートが行われなかったため、ユーザーから多くの反感を受けた。アップデートを嘆願する署名活動も行われたこともあって話題にもなった

 AndroidスマートフォンのOSアップデート可否については、メーカーもしくは通信キャリアが最終決定権を持つ。通信キャリアの独自機能やアプリケーションの兼ね合い、新機種の登場タイミングや売れ行きが悪いといった要因で、キャリア側がアップデートしない決断を下した機種も多かった。そのため、端末のスペック不足といった理由でアップデートされなかった機種は少ない。

 かつてはOSアップデートされなかったAndroidスマートフォンも多かったことから、キャリアで販売される機種のアップデート体制に不満を覚えたユーザーも多かった。

 一方でiPhoneのように、ハードウェアとソフトウェアの双方をメーカーが独自に管理できるものに関しては、比較的アップデートが長期に渡って行われる。

過去の例を見てみると、Xperia Z1と同じく2013年発売のiPhone 5sでは、2018年に公開のiOS 12までアップデートされており、iOS 13が発表されるまでの6年間に渡ってサポートされた。同時期発売のAndroidスマートフォンに比べるとかなり長期のサポートとなった。

 特にAppleの場合は、発売から時間の経過した旧機種を廉価モデルとして販売するビジネスモデルを展開していることもあり、長期のOSアップデートは理にかなっている。

iPhone 14 iPhone 14シリーズが発売されてもなお、Apple Storeでは2020年発売のiPhone 12が販売されている

 もちろん、Androidスマートフォンもアップデートの促進に力を入れている。Googleではチップセットベンダーと手を組み「Project Treble」というアップデートを容易に行う仕組みを2017年に発表している。

 これはAndroid OSの基幹部といわれる部分と、メーカーやキャリア側で実装する部分を分けてリリースすることで、容易にかつ効率よくアップデートを進められるものだ。具体的にはGoogleとQualcomm、MediaTek、Samsungといったベンダーが手を組み、Androidの新バージョンに対して効率よくアップデートできるように対応している。

 端末メーカー側は従来よりも余計な手間がない分、自社のハードウェアやカスタムUIの最適化に注力できる。結果として、OSアップデートのタイムラグを少なくし、アップデート手順を簡略化しようという試みだ。

 これらの仕組みの普及もあって、近年のスマートフォンでは2年間のサポートを明言するものが増えてきている。かつてのように最新バージョンが発表されてから、1年遅れてアップデートされるといったことも少なくなっている。

 近年ではProject Trebleを拡張する形で、QualcommはSnapdragon 888以降のプラットフォームにおいて「4つのOSバージョン対応、4年間のセキュリティパッチの配布」を打ち出している。MediaTekやSamsungからの公式発表はないが、この流れに続く形になると思われる。

 Google Pixelも最新のPixel 7にて5年間のセキュリティパッチの提供を予定するなど、Appleのサポート長期化に対する動きが見られる。

【訂正:2022年10月27日18時25分 初出時、「Appleのサポート長期化を強化している」としていましたが、正しくは「Appleのサポート長期化に対する動きが見られる」です。おわびして訂正いたします。】

arrows N FCNTが2022年2月を目標に展開するarrows N。3回のOSアップデートを保証する根拠は、拡張されたProject Trebleで触れている「4つのAndroidバージョン」への対応と思われる
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