「Galaxy Tab S6 Lite」の国内モデル発表 Sペン付属、5万円台の“ちょうどいい”タブレットでiPadに対抗

» 2023年06月20日 10時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]
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 サムスン電子ジャパンは6月20日、オープン市場向けのタブレットとして、「Galaxy Tab S6 Lite」を発表した。Samsungオンラインショップで同日10時から予約を受け付け、23日10時に発売する。Amazon.co.jpでも取り扱い、20日10時予約開始、23日0時発売となる。価格は5万6799円(税込み)だ。

 薄さと軽さに加え、Sペンによる入力、マルチタスクをサポートし、学生や子どもを持つ一般家庭への訴求を目指すとしている。

GalaxyTabS6Lite サムスン電子ジャパン タブレット Galaxy Tab S6 Lite

 専用アクセサリーとして、「Galaxy Tab S6 Lite Book Cover」を用意する。Samsungオンラインショップ価格は9240円。カラーはブルー、ピンク、グレーの3色展開で、20日10時から30日23時59分までにGalaxy Tab S6 Liteを購入すると、好きなカラーのBook Coverがもらえるキャンペーンを実施する。

GalaxyTabS6Lite サムスン電子ジャパン タブレット 画面を保護し、スタンドにもなる「Galaxy Tab S6 Lite Book Cover」
GalaxyTabS6Lite サムスン電子ジャパン タブレット カラーはブルー、ピンク、グレーの3色展開となる

 Galaxy Tab S6 Liteは厚さ7.0mm、重量約465gと薄型かつ軽量でありながら、10.4型のTFT液晶ディスプレイ(2000×1200ピクセル)を備えたAndroidタブレット。ベゼル幅は9mmで画面占有率81.1%を実現した。ワコムがサムスンにOEM提供するデジタルペンソリューション「Sペン」が付属し、メモやスケッチをしたり、キーボードを使わずに文章を入力したりできる。4096段階の筆圧感知に対応し、筆圧に応じて文字や線の太さが変わる。

GalaxyTabS6Lite サムスン電子ジャパン タブレット 薄型かつ軽量を重視した
GalaxyTabS6Lite サムスン電子ジャパン タブレット 筆圧感知に対応するため、筆圧に応じて文字や線の太さが変わる

 「Samsung Notes」アプリにも対応し、まざまなスタイルのペンや色を使って文字を書き込んだり、イラストを描いたりできる。検索可能なタグを付けてメモやイラストを保存しておけば、データが増えたときに探しやすくなる。PDF文書のインポートも可能で、テキストや図の追加、ハイライト表示、取り消し、アンダーラインの追加などを行える。

 特に手書きの文字をテキストデータに変換する機能も利便性、生産性向上の1つとして紹介されている。例えば、会議などで議事録にGalaxy Tab S6 LiteとSペンを使えば、書きながらでも書いた後でも手書きの文字がテキストデータ化されるため、「Word」「Excel」「PowerPoint」にコピーして、資料を作成することに活用できる。

GalaxyTabS6Lite サムスン電子ジャパン タブレット キーボードを使わずにSペンだけで文字を書き、テキストデータに変換できる。文字と文字の間にスペースを挟むときは、ブリッジのようなマークを手書き入力する
GalaxyTabS6Lite サムスン電子ジャパン タブレット スペース入力に変換され間が空く

 Sペンは同時発表の「Galaxy S23 Ultra」のSIMフリーモデルにも付属するが、Galaxy Tab S6 LiteのSペンは充電不要となる。7.45gと軽くて持ちやすく、充電のし忘れを防ぐことが可能だが、Bluetoothでの接続には対応しない。Sペンをカメラシャッターのリモコン代わりにしたり、少し離れた場所からワイヤレスでスライドページをめくったり、ということはできない。

 前述の通り、Galaxy Tab S6 Liteは子どもを持つ一般家庭もターゲットであるため、子ども向けのモード「Samsung Kids」を搭載する。Samsung Kidsは親によるPINの設定が必要で、子どもが利用できるアプリ、機能が限定されるもの。子どもが有害なコンテンツへアクセスできないようにする。親は子どもが遊ぶ時間、それに特定の連絡先やアプリへのアクセスを設定できる他、使用状況レポートから子どもがどのようなアプリ、機能にどのくらいの時間、アクセスし続けたのかを把握できる。

GalaxyTabS6Lite サムスン電子ジャパン タブレット Samsung KidsのPIN入力画面
GalaxyTabS6Lite サムスン電子ジャパン タブレット Samsung Kidsのホーム画面

 子どもが学びながら好奇心を喚起できるよう、Samsung Kidsにはキャラクター基調としたUIとなっている。ゲームとキャラクターを通じて、学習できるコンテンツも含む。

GalaxyTabS6Lite サムスン電子ジャパン タブレット キャラクターとともに学べるコンテンツもある

海外モデルとの違いは?

 Galaxy Tab S6 Liteはもともと海外の一部の国と地域で販売された「Galaxy Tab S6 Lite(2020)」を日本市場向けにカスタマイズした上で再販されるモデルでもある。変更点としては次の通りとなる。

  • プロセッサ:Exynos9611→Snapdragon 720G
  • OS:Android 10→Android 13
  • OneUI:バージョン2.0→5.1

 OneUI 5.1ではホーム画面の下の手が届きやすい範囲に基本的なアプリが並び、その上にウィジェットが貼り付けられている。各配置の変更はもちろん、アプリのショートカットを常に表示しておけるため、アプリ一覧からアプリを探さなくても、ワンタップでアプリの切り替えが可能だ。マルチウィンドウにも対応し、最大3つのアプリを分割して同時に表示できる。ウィンドウの切り替えはアプリとアプリの間の線をタップし、ウィンドウ切り替えアイコンをタップするだけで行える。

 その他のスペックは共通している。インタフェースはUSB Type-Cと3.5mmイヤフォンジャックに対応。Dolby AtmosをサポートするAKGチューニングのステレオスピーカーを内蔵する。メモリは4GB、ストレージは64GB、バッテリー容量は約7040mAhだ。通信規格はWi-Fiが802.11 a/b/g/n/ac、Bluetoothが5.0をサポートする。ボディーサイズは約244.5(幅)×154.3(高さ)×7.0(厚さ)mmで、重量は約465gとなる。

GalaxyTabS6Lite サムスン電子ジャパン タブレット Sペンは上部の側面にマグネットで取り付け可能だ
GalaxyTabS6Lite サムスン電子ジャパン タブレット 下部の側面には何もない
GalaxyTabS6Lite サムスン電子ジャパン タブレット インタフェースはUSB Type-Cに対応する
GalaxyTabS6Lite サムスン電子ジャパン タブレット 3.5mmイヤフォンジャックも搭載する

なぜ5万円台のタブレットで日本市場に挑むのか

 サムスン電子ジャパンはGalaxy Tab S6 Liteを「ちょうどいい機能や性能を持つGalaxyタブレットを、求めやすい価格で提供したい」というメッセージを掲げている。画面サイズが10.4型であるのは持ちやすく、「小さすぎず大きすぎない」サイズを実現するためだ。一方で、「ちょうどいい機能」「ちょうどいい価格」を求めた結果、防水や防塵(じん)といった耐久性能は備えない。

 では、なぜサムスン電子ジャパンは5万円台のタブレットで日本市場に挑むのだろうか。その理由は、タブレットのラインアップや、タブレット市場に隠されている。

 サムスン電子ジャパンは2010年にNTTドコモへタブレット「GALAXY Tab」を納入。当時は、プロセッサの性能はいまほど高くなく、OSもタブレットに適したものではなかったが、ドコモとともに7型の持ちやすいタブレットの訴求に努めた。

GalaxyTabS6Lite サムスン電子ジャパン タブレット 2010年11月22日にNTTドコモが発売した「GALAXY Tab」

 2014年8月、サムスン電子ジャパンはオープン市場向けのモデルとして「GALAXY Tab S」シリーズを展開。同年10月、ドコモやauにも採用され、再びキャリアを通じて販売された。ドコモ向けの「GALAXY Tab S 8.4 SC-03G」にはキーボードを付属したパッケージとして納入。それでありながら2万円台前半の低価格を実現し、サムスン電子ジャパンとしてはかなり注力していたラインアップの1つだった。

GalaxyTabS6Lite サムスン電子ジャパン タブレット キーボード付きの「GALAXY Tab S 8.4 SC-03G」

 オープン市場とキャリアの両軸で、タブレットを展開していたサムスン電子ジャパンだったが、その後、メインストリームであるオープン市場(特にコンシューマー)向けにGalaxyの名を冠したタブレットを多く投入できず、メーカーとしてはユーザーの期待に添えず、もやもやとした気持ちを抱いていたという。

 その間、タブレット市場はもはや「iPad一強」の状態と化してしまい、自社でハードウェアとソフトウェアの両方を手掛けるAppleの戦略が功を奏した。MM総研が公表している、2022年(2022年1月から12月期)の国内タブレット市場の動向を見ても、メーカー別出荷台数はAppleが前年比34.7%減の317万台も13年連続1位、シェアは50.2%を超えている。OS別シェアはiPadOSの50.2%に続き、Androidが25.4%の160万台、Windowsが24.4%の154万台と、差が大きく開いている。

GalaxyTabS6Lite サムスン電子ジャパン タブレット MM総研が公表している「タブレット端末出荷台数調査(2022年1月から12月期)」

 Windowsを除けば、スペックや価格が高いiPadと、スペックや価格を抑えたAndroidタブレットの二極化した市場となってしまった。結果として、スペック重視でAppleのiPadが選ばれるケースが多くなり、iPadに及ばないAndroidタブレットには「安かろう悪かろう」というレッテルが貼られてしまった。

 そうした背景もあり、サムスン電子ジャパンとして2021年まで10万円以上のAndroidタブレットは「0」になり、ユーザーのニーズに合うタブレットを展開できずにいた。サムスン電子ジャパンとしては「0→1にする試み」として、2022年に12.4型の「Galaxy Tab S8+」(発売当初=11万5500円)と、14.6型の「Galaxy Tab S8 Ultra」(発売当初=14万1800円)を国内に投入したが、一部のユーザーからは「高性能だけど高すぎて手が出しづらい」という声が挙がっていたという。

GalaxyTabS6Lite サムスン電子ジャパン タブレット 12.4型の「Galaxy Tab S8+」
GalaxyTabS6Lite サムスン電子ジャパン タブレット 14.6型の「Galaxy Tab S8 Ultra」

 だからこそ「ちょうどいい機能や性能を持ち、ちょうどいい5万円台の価格を実現した」Galaxy Tab S6 Liteをサムスン電子ジャパンとして日本市場に投入したわけだ。ただ、これから先、iPadにない機能、さらにはメーカー独自のアプローチがなければ、生き残りは厳しい。サムスン電子ジャパンが今後、Galaxy Tab S6 Liteをどのようにアップデートしていくのか、はたまた別のモデル投入で攻めていくのか、引き続き注視したいところだ。

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