ドコモの新料金「irumo」を冷静に分析 「分かりにくい」「改悪」以上に大きいインパクト:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2023年06月24日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]

irumoを実現するためにNTTレゾナントを吸収合併、ARPUの向上も目指す

 一方で、ドコモには小容量を担う料金プランとして、エコノミーMVNOがあった。その1つであるOCN モバイル ONEは、エコノミーMVNOに参画して以降、順調に契約数を伸ばしていた。調査会社MM総研が2023年6月に発表した3月末時点での回線数は200万7000。トップシェアのIIJmioに次ぎ、2位の位置につけている。ただ、ドコモ傘下の企業でドコモショップが販路になっているとはいえ、MVNOであることに変わりはない。「ドコモのサポートやドコモ(本体)のネットワークを使いたいという声もいただいていた」(山本氏)のも事実だ。

ドコモ MM総研調べ。OCN モバイル ONEは23年3月末で200万回線を突破し、IIJmioに次ぐ2位につけている

 200万回線を超え、MVNOとしては大規模になったOCN モバイル ONEだが、UQ mobileやY!mobileといったサブブランドと比べると、まだまだ開きは大きい。UQ mobileは、直近で800万契約まで拡大。もともとシェアを伸ばしていたY!mobileはさらに規模が大きい。細かな数値は開示されていないが、ソフトバンクが2022年12月末時点までの契約者数として公開していたグラフの比率を元に計算すると、既に915万契約は突破していることが分かる。最大手であるドコモ傘下のMVNOとして、UQ mobileやY!mobileに十分対抗できていたとはいいがたい。

ドコモ UQ mobileは800万契約を突破している

 MVNOゆえに宣伝などのコストが限られていた上に、ユーザー数が増えれば、ドコモに対して支払う接続料もかさむため、利益を出しづらい構造にある。また、エコノミーMVNOという枠組みは、公正競争上、他社とも条件が一律になってしまう。ドコモの子会社だからといって、OCN モバイル ONEだけを優遇することはできなかった。親会社であるドコモにとっても、子会社でOCN モバイル ONEの運営を続ける意義が薄れていたはずだ。

 先の山本氏は、「NTTレゾナントはドコモの中期戦略を実現する上で、経営の効率化や意思決定の迅速化を図るために統合したが、料金プランについてはずっと検討し続けてきてこのタイミングになった」と述べていたが、この経営統合はirumoを投入するための布石だったといってもいい。実際、総務省の電気通信市場検証会議にドコモが提出した資料には、irumoを実現するためにNTTレゾナントを吸収合併したことが記載されている。対コンシューマーの戦略を、7月1日から大幅に変更するというわけだ。

ドコモ 総務省の電気通信市場検証会議にドコモが提出した資料。irumoが、OCN モバイル ONEの後継であることが分かる

 他方でドコモは、料金値下げによって下がってしまったARPUの反転も目指している。それを支えるのが、拡大するデータ需要だ。実際、中容量のahamoや、大容量、無制限のギガホは堅調に推移しており、2つを合計した契約者数は2022年度第2四半期で1000万を突破。ahamo単体の契約者数も、5月に500万を超えた。ただ、ギガホは3GBを超えるだけで料金が上がってしまい、ライトユーザーにはややハードルが高い料金プランだった。

 これに対し、eximoはギガライトのような段階制を採用して入口を広げ、ユーザーをデータ無制限に誘導しやすい作りになっている。割引適用時の料金は1GBまでだとギガライト相当だが、これを超えるとギガライトよりも料金は高くなっていく。また、3GBを超えると料金が上限に達するため、7GBが天井だったギガライトよりもデータ通信を利用しやすい。ギガライトのユーザーがirumoに移るとARPUは下がるが、フルサービスを求めてeximoに入ればARPUは向上する。使ってもらえるような工夫は必要になるが、ARPUを上げる構えは整ったといえる。

ドコモ eximoはギガライトとギガホを合体させたような料金プラン。ただし、ギガライト比では値上げになっており、ARPUを上げたいドコモの思惑が透けて見える

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