では、今後、大規模災害の被害に遭った場合、どのようにして情報を取得すべきなのか。
検討候補の1つ目にラジオを挙げたい。ラジオや音声多重放送(複数音声を重ねる放送、ステレオ/サラウンド放送を含む)のみを受信できるチューナーは受信料契約義務の対象外だからだ。映像出力不可のチューナーなら契約義務は生じない。
そのため、ラジオが聴ける(FMラジオとIPサイマルラジオ「radiko.jp(ラジコ)」双方の聴取に対応する)スマホ、通称「ラジスマ」という選択肢はあるが、最近ではチューナー搭載によるコスト増加がメーカーの負担となり、ラジオチューナーすら搭載しない機種が増えている。
(※)一部機種は市販のイヤフォンやUSB Type-Cから3.5mmオーディオジャックに変換するアダプタが必要
2023年に発売される機種でラジスマ対応の表記があるのは「AQUOS R8 SH-52D」「AQUOS R8 pro SH-51D」「AQUOS wish3 SH-53D」。FMラジオ対応の表記があるのは「arrows N F-51C」「Galaxy A54 5G SC-53D」「Galaxy S23 SC-51D」「Galaxy S23 Ultra SC-52D」「OPPO Reno9 A」だ。
ところが、ラジスマの公式サイトに記載されている以下の機種を見ると、ほとんどが数年前の型落ち機種ばかりで最新の情報に更新されていない。最新情報への更新を徹底して、最新機種の一部でもFMラジオが聴ける点を周知すべきだ。
この内、京セラが5月16日に汎用的な個人向け携帯電話事業から撤退すると表明。高耐久スマートフォン「TORQUE」シリーズは継続予定だが、ラジスマが発売される可能性は低い。5月30日にはFCNTが民事再生手続きの申し立てをすると発表し、事実上経営破綻したことが明らかになった。
【更新:7月16日13時20分】FMラジオ対応機種とラジスマ対応機種の情報が更新されていない旨を追記しました
ラジスマに頼れないなら、他に情報取得手段はあるのか? TwitterなどのSNSを挙げたいところだが、Twitterは予告なしに閲覧制限を実施した他、ここ数日の不具合で「使いづらい」との声があがっている。米Metaの新たなSNS「Threads(スレッズ)」もアリかもしれないが、ハッシュタグが使えない点やキーワード検索ができない点などはTwitterに劣る。これらの機能は将来的に実装される予定だが、現時点(2023年7月現在)でThreadsの1本化は厳しい。
LINEアプリのニュースや他のニュースサイトを使う手もあるが、SNSもWebのニュースサイトも通信手段(モバイルデータ通信やWi-Fi)を確保できなければ意味がない。
スマホを取り巻く環境を整理してみると、災害時の情報取得がさらに難しくなっていることが分かる。メーカーにもユーザーにも負担にならない新たな情報取得手段が求められているのが現状だ。
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