契約者数と売上アップのためには、「楽天グループのエコシステムのベネフィットを最大に活用していく」という。楽天グループの顧客に楽天モバイルを使ってもらう取り組みを行うとともに、楽天モバイルのユーザーになると楽天グループのサービス利用率が上がるというデータを基にモバイルの強化を行う。
11月1日に発表されたSPU(スーパーポイントアッププログラム)の改定もモバイル強化の一環だ。「改悪」の声も聞かれる改定だが、「多くの方々にはアップグレードになる」(三木谷氏)。取引先店舗などからもネガティブな声はないという。
モバイルのユーザーを優遇するのは、「モバイルとのシナジーはどんどん出ていて、(楽天モバイルのユーザーになると)楽天市場での購入率が60%上がる。トラベルに関してはほぼ倍増する。楽天グループのサービスを1年間で2.6サービス、余分に使っていただける。ユーザーあたり月間721円の売上増になる」(三木谷氏)からだ。
2023年は「楽天最強プラン」を開始し、MNPのワンストップ化に合わせて契約申込が簡略化されるワンクリック申し込み&開通、SPUの改定を行ったが、2024年は早期にさらなるマーケティング施策を行うという。
「今、伸びている」という法人にも引き続き注力する。まずは楽天グループの取引先90万社、全国の自治体にアプローチ。単に回線を売るだけではなく、セキュリティやAI、翻訳など、モバイルネットワークを活用したソリューションを提供していく。
契約回線数は10月に20万件に近い純増となり、2024年12月に契約回線数800万に到達するために必要な月次純増数の水準になった。ネットワーク品質が向上するにつれて解約率のさらなる減少も見込む。契約者数は「足元で多少のアップダウンがあるかもしれない」が、これから増加が加速していくと予想する。また、最初837円だったARPUも2023年第3四半期には2046年まで上昇。オプションなどでバリューアップすることによって、モバイルで3000円、エコシステムのアップリフト分で1000円、楽天グループの売り上げとして計4000円までアップさせたいと語った。
そのために導入したのがRCSアプリ「Rakuten Link」の「ホーム」だという。キャンペーンやクーポン情報、お得なポイント情報が表示され、楽天グループの各サービスにアクセスできる。
2024年は設備投資額を半減させる。現在のネットワークで「1300万人くらいはサポートできる」という。「当面、設備投資はあまり必要ないと思っている。1300万人を超える時期に新たな投資が必要になる」と三木谷氏は語った。
三木谷氏は最後に、NTT法の見直しについてもコメント。モバイルネットワークのバックボーンとなる光ファイバー回線は「国民の血税や電話加入権に支払ったお金を使って作ってきた資産」。5Gや6Gではさらに重要になるとし、「ここについてはしっかりした特別な法律の下で管理をしていく必要がある」と、NTT法の廃止に反対した。
また、研究成果の開示義務が国際競争力強化の支障になるとNTTが主張していることに対しても「単なる言い訳だと思っている」と厳しい。
「電気通信事業法でカバーできるということだが、NTTドコモさんについても100%子会社化されている。(光ファイバーなどに接続する)値段を上げようが下げようが、NTTに連結されていればまったく関係がない。自分がNTTのCEOだったら、間違いなく値段を上げるだろうと考えている。(NTT島田社長の)『やりません』という口頭のコミットだけで済むような話じゃないと思う。NTTグループについても統合しないといっていたものが、約束は破られてきているということを考えれば、彼らの口頭の主張は全く信用できないと考えている」(三木谷氏)
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