総務省は10月23日、楽天モバイルに対するプラチナバンドの割り当てを発表した。
これに先立ち総務省が8月29日から9月29日までの間、基地局の開設計画の認定申請を受け付けた結果、楽天モバイルの1社のみが割り当てを申請した。
楽天モバイルは4G LTEネットワークを1.7GHz帯(バンド3)でのみ構築しているが、700MHzから900MHzまでの帯域を保有していなかった。地下や高層ビルなどでつながりにくい、とするユーザーの声がSNSなどで目立っていた。
1.7GHz帯の電波と比べて障害物に強く、エリアカバーを広げる上で有利とされているプラチナバンドにより、楽天モバイルの弱点だった「つながりにくさ」を克服できるという。
プラチナバンドが携帯電話事業者に割り当てられるのはソフトバンクモバイル(現ソフトバンク)が2012年に900MHz帯を獲得して以来、11年ぶりとなる。
割り当ての基準(絶対審査基準)には「認定から10年後までに各総合通信局管区で人口カバー率を80%以上とする計画を有すること」「設備投資などに必要な資金調達の計画及び認定の有効期間(10年間)の満了までに単年度黒字を達成する収支計画を有すること」などが盛り込まれている。
情報通信審議会では2022年11月から割り当てに向けた検討が行われ、楽天モバイルの申請計画が開設指針に定める絶対審査基準に適合しているかを審査した結果、割り当ての判断に至ったという。
楽天モバイルが獲得したプラチナバンドは700MHz帯(3MHz×2)で、端末側は715MHz〜718MHz、基地局側は770MHz〜773MHzを用いる。合わせて、楽天モバイルはコメントを発表した。コメント内容は以下の通りとなる。
楽天モバイルは、国内における公正な競争環境の確保ならびに通信ネットワークの構築・整備のため、「プラチナバンド」とも呼ばれる700MHz帯における移動通信システム普及のための特定基地局開設計画の認定申請をしていましたが、本日2023年10月23日(月)、総務大臣より当該計画の認定を受けましたことをお知らせします。
本認定に伴い楽天モバイルでは、700MHz帯を活用したモバイルネットワークの構築を開始し、より高品質な通信環境の実現を目指します。開設計画においては、各種準備作業日程等を考慮し期日を設定しておりますが、できるだけ早期の運用開始を目指して準備を進めてまいります。また、楽天モバイル独自のネットワーク技術および既存の基地局サイトを生かし、コストを抑えた効率的な基地局開設を行っていきます。
楽天モバイルは、参入当初より「携帯市場の民主化」を掲げております。今後も通信環境のさらなる改善を進め、お客様に安定的かつ高品質なサービスを提供することを通じて、通信インフラ事業者としての社会的意義を果たしてまいります。
楽天モバイルがようやく手に入れたプラチナバンドだが、つながりにくさは払拭できるのだろうか。懸念点はいくつかあるが、例えば、昨今話題のNTTドコモは「ユーザーの端末がプラチナバンドにつながり過ぎてしまう」問題を抱えている。
2023年夏頃からSNSなどで目立つようになった「ドコモのつながりにくさ」の一因に挙げられるのがプラチナバンドだ。高層ビルが立ち並ぶ環境で、ユーザーの端末がプラチナバンドをつかんで通信をし続けることにより、プラチナバンドの混雑につながってしまったという。
他の周波数帯に空きがあるのに多くの端末がプラチナバンドにつながり続けてしまうと、つながっているもののデータが流れず、「つながりづらい」「遅い」などの体感となるのだ。ドコモの説明を聞いた身としては楽天モバイルもこうした状態に陥らないのか心配になる。
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