法令改正で攻めの一手に出るmineo 「長期利用特典」「端末値引き」の狙いを聞くMVNOに聞く(3/3 ページ)

» 2024年02月21日 13時06分 公開
[石野純也ITmedia]
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端末は旧ガイドラインを超える割引を実施も、1円端末はやらず

―― キャンペーンには、端末割引もあります。最大ですが、2万6400円の割引もありますね。旧ガイドラインの上限(2万2000円)は超えていますが、これは新ガイドラインで規制対象だった場合も超えているのでしょうか。

田村氏 旧制度(ガイドライン)で言うと、2機種が2万2000円を超えています。「moto g52j 5G SPECIAL」と「Xiaomi 13T Pro」が、2万6400円割引です。moto g52j 5G SPECIALは、新ガイドラインも超えています(4万4000円以下の端末は2万2000円が上限になるため)。ただ、踏み込んで1円になるようなことはしていません。そこまで安くするとどうしても短期解約が出てくる懸念がありますし、体力的にもドンと割引をして獲得するのは難しいですね。

mineo 最大2万6400円割引の端末セールも実施。「moto g52j 5G SPECIAL」と「Xiaomi 13T Pro」は2月21日時点で売り切れとなっている

―― ただ、ガイドラインが適用されなくなったので、最低利用期間のようなものを設けて割引ありの場合には短期解約ができないようにすることも可能だと思います。

田村氏 2015年に最低利用期間は撤廃してから、それはずっと続けています。今からそれを戻して縛るというようなことは考えていません。そういう縛り方はmineoらしくない。サービスのよさやコミュニティーのよさでいいと思っていただき、長く使っていただけるのがmineoらしさです。お金で長く使ってもらうという選択肢はありません。ただ、そこには(各社)いろいろなスタンスがあると思います。

―― mineoは、もともと他社と比べると、端末割引はあまりやっていなかった印象があります。ガイドラインの適用範囲外になったことで、これからそれを増やしていくというようなことはあるのでしょうか。

田村氏 割引キャンペーンは年に一度、このタイミングでやっていました。その金額は2万円未満でしたが、今回は一部それを超えています。その部分に、ガイドライン改正は影響しています。ただし、年中割引するというようなことは考えていません。年度末や年度初めは買い替え需要がある時期で、(割引は)効率がいい。端末を安価に販売すると、先ほど申し上げたような短期解約がどうしても増えるので、そのバランスは難しいと思います。

ファンとのつながりを大事にし、長く使ってもらうサービスを目指す

―― それでも、ガイドラインが適用されなくなったことで、事業の自由度は広がったといえそうですね。

田村氏 創意工夫でやってきたので、その幅が広がり、利便性を感じていただきやすくなったという意味ではよかったと思います。

―― その意味だと、今年はMVNOが盛り返す1年になりそうですか。

田村氏 引き続き、市場の流動性はまだまだあると思っています。他社の動きもありますが、ガイドラインの改正もあり、打てる手が増えています。長期利用特典も出せたので、ベースの価値はうまく上げられています。これでmineoに乗り換えていただければ、いい流れになると思います。

―― ちなみに、OCN モバイル ONEが新規契約を終了しましたが、mineoへの乗り換えは増えていますか? あまりirumoに移っているようにも見えないのですが。

松田氏 大きくは、ないですね。

―― 松田さんがmineoの事業戦略部長に就任されてから、初めての発表会でした。最後に、今後に向けた意気込みをお聞かせください。

松田氏 7月から福留(康和)の後任として、部長を務めることになりました。実はmineoの事業に関わるのは、これが初めてです。この半年ほどの間、mineoの特徴である「ファンと一緒に作る」ということを、オフ会などに参加して肌で感じてきました。ファンとのつながりというのは、これからも大事にしていき、ファンの皆さんと一緒にmineoだからできることをどんどん作っていきたい。今回のような新しい制度やキャンペーンは、その中でできたものです。これを機に、今mineoを使っている方にも改めて目を向け、より長く使っていただきたいという思いを強くしています。

mineo オプテージ コンシューマ事業推進本部 モバイル事業戦略部長の松田守弘氏

取材を終えて:コミュニティー参加のモチベーションを維持できるか

 ガイドライン改正で厳しくなった端末割引だが、IIJmioやmineoといったMVNOはその対象から外れ、より自由の高い選択肢を取れるようになった。もともと、ガイドラインの対象になる事業者は、約100万契約をしきい値にしていたが、これが厳しすぎた印象も受ける。少なくとも、自社でネットワークを持つMNOと、そこから回線を借りるMVNOに同じ規制を課すことをイコールフッティングとはいわない。その意味で、2024年はようやく大手MVNOが本領を発揮できるようになった1年だ。

 mineoのファン∞とくは、こうした背景で改定された。いわば長期利用優遇だが、コインという形で同社のサービスを試せる点は面白い。単純な縛りや割引ではなく、特典として使ってもえることで、今後のARPUを上げる布石になっているのが同社ならではの工夫といえそうだ。一方で、契約年数だけが判定基準のため、コミュニティーへの参加モチベーションは下がる。今後は、これを補う仕組み作りも必要になりそうだ。

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