LINEMO新料金プランは“楽天モバイル対抗”を強く意識 ただし経済圏やLINE連携には課題も:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2024年06月08日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]

LINEMOベストプラン導入の狙いは? ソフトバンクが示す3つの理由

 ソフトバンクがLINEMOの新料金プランを導入した狙いは、主に3つある。1つ目が、先に挙げたデータ使用量の増加に対応し、解約を抑止すること。2つ目が、Y!mobileとの差別化だ。Y!mobileが2023年に導入した「シンプル2」は、Sが4GB、Mが20GBで、4GBと20GBの中間がない。シンプル2 Sは、「データ増量オプション」をつけても6GBまでしか増量できず、6GBを超えると選択肢がない状況だった。3GBから10GBに変動するLINEMOベストプランは、この間を埋める料金プランといえる。

LINEMO Y!mobileは4GBの次が20GBになり、その間がない。最大10GBのLINEMOベストプランは、その隙間を埋める料金プランといえる

 もう1つのLINEMOベストプランVは、データ容量が20GBから30GBに変動するが、このデータ容量はそれぞれY!mobileのシンプル2 Mやシンプル2 Lと同じだ。どちらも中容量という点では、Y!mobileとバッティングするようにも見える。

 一方で、Y!mobileのシンプル2は、従来以上に家族契約や光回線などのセット契約を重視した料金体系になっており、割引の比重が大きい。20GBのシンプル2 Mも、「おうち割 光セット」や「PayPayカード割」がない素の料金は4015円に跳ね上がってしまう。これに対し、LINEMOは当初から「おひとり様でもお得になる料金を心掛けてやってきた」(同)。こうした特徴は、新料金プランでも健在。データ容量をY!mobileとそろえたことで、それがより明確になった。

LINEMO シンプル2は、セット割などの比重が高くなっている。この点は、1人で契約するだけで安いLINEMOとの違いといっていい

 データ容量の設計は、「悩みに悩んだ」(同)という。「3ブランドをうまく差別化していかないと、どこかに雪崩が起こってしまう」(同)からだ。想定以上にソフトバンク内でのブランド移行が進むと、ARPU(1ユーザーあたりの平均収入)が落ち、経営の不確定要素になる。逆に、LINEMO自体の契約者数はソフトバンクやY!mobileほど伸びておらず、テコ入れの必要もあった。LINEMOベストプランは、その答えだったというわけだ。

LINEMO ソフトバンクの契約者数は順調に伸びているが、主力はY!mobile。ソフトバンクもペイトク導入以降伸びている一方で、LINEMOの比率は低かった

 3つ目の狙いが、ユーザー数を伸ばす楽天モバイルへの対抗だ。LINEMOベストプランという名称からも、この料金プランが楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」を強く意識して設計されていることがうかがえる。「10GB以下では業界最安」(同)とうたっているのは、そのためだ。寺尾氏も「意識してないと言ったら、そんなことはない」と認める。

 実際、Rakuten最強プランで3GBを超えると、次に料金が変わるのは20GB。間が大きく空いており、使用したデータ量が10GBでも料金は2178円かかる。LINEMOベストプランはここを突き、3GB超20GBで2178円のRakuten最強プランより安い2090円という料金を打ち出した。もともと3GB同士の比較ではLINEMOの方が安かったが、その上の階段にいるユーザーを狙う戦術だ。ソフトバンク内でLINEMOの比率が上がればARPUは下がるが、他社からユーザーを奪えれば収益は純粋なプラスになる。新料金プランの導入で、対楽天モバイルの色をより濃くしたといえる。

LINEMO Rakuten最強プランは、3GBを超えると料金が2178円に上がる。10GBまでと限定的ながら、LINEMOベストプランはこれを下回った

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