もっとも、楽天モバイルには、Rakuten Linkを介した音声通話やSMSが無料になるサービスがあり、この点を加味するとLINEMOベストプランの方が料金は高くなる。また、LINEMOベストプランには10GBを超える設定がない。LINEMOベストプランVを選ぶ手もあるが、こちらは少々割高。楽天モバイルの場合、20GBを超えると3278円で無制限になるため、LINEMOベストプランが全てのユーザーにピッタリとは言い切れない。
これに加え、楽天モバイルは、家族割引や若年層へのポイント還元プログラムを充実させている。「最強家族プログラム」を適用すると料金は各容量帯で110円下がり、LINEMOベストプランを下回る。LINEMOベストプランが“最安”になるのは、あくまで1人で契約した場合という限定条件がつく。逆に言えば、LINEMOは、単身で契約しており、かつ比較的データ使用量の少ないユーザーを奪おうとしていることが分かる。
通信以外では、SPU(スーパーポイントアッププログラム)で楽天市場のポイント還元率が4%上がる楽天モバイルに軍配が上がる。6月からは楽天ペイと連携した新規ユーザー向けのキャンペーンも展開するなど、さまざまな特典を多数用意している。楽天グループの巨大な経済圏を生かし、楽天モバイルの魅力を高めているといえる。
経済圏がないのは、LINEMOの弱点にもなっている。もともとLINEとの連携を売りにしていたLINEMOだが、先に挙げたように、LINEMOベストプランVではスタンプの特典もなくなってしまった。同じソフトバンクでも、ソフトバンクやY!mobileは「LYPプレミアム」が無料でつく。また、ソフトバンクではPayPayでお得になるクーポンが手に入ったり、PayPayの還元率が上がるペイトクを主力にしていたりと、自社グループのサービスを上手に連携させている。
LINEギガフリーや6カ月間のLINE MUSIC無料がこれに相当するものの、LINEらしさは希薄だ。グループであるYahoo!JAPANやPayPayなどとの連携もなく、LINEの名を冠しているのとは裏腹に、より“土管”に近い通信サービスになってしまっている。この点を問われた寺尾氏は、「LYPプレミアムをLINEMOに導入することを検討している」と語る。LINEスタンプ プレミアムをLINEMOベストプランVから外したのは、そのためだという。
LINEMOなどの通信サービスを通じて「LINEなり、PayPayなりにアクセスしていただくことは、われわれにとっても大きい」(同)。ただし、LYPプレミアムはまだ検討の段階。「そのまま(ソフトバンクやY!mobileと同じ形で)入れるかどうかは分からない」(同)とする。とはいえ、ソフトバンクやY!mobileと特典が同じでは、差別化にならない。LINEMOならではの、工夫したサービスが求められそうだ。
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