背面には広角と望遠の2眼カメラを搭載。インカメラは単眼だ。いずれも約5030万画素のセンサーを採用している。広角ライカ(Leica)ブランドを冠しており、背面のレンズユニットは「HEKTOR 1:1.9-2.2/13-23 ASPH.」と銘打たれている。
スマートフォンのカメラは、ややもすると色を強調しすぎる傾向にあるが、このスマホで撮る写真は誇張しすぎない自然な色表現を実現している。これはライカの監修による影響だろう。ボケの表現にも独特の雰囲気があり、思い出に残る写真が撮れる印象だ。
ソフトウェア面での撮影技術も強化されている。被写体追尾フォーカス機能では、被写体が柱などに隠れて一瞬見えなくなったとしても、被写体の形状を検出して追尾を続ける。子どもやペットなど、動き回る被写体を撮影する際に非常に便利だ。
一方で、カメラに1型センサーを搭載するAQUOS R8 ProやLeitz Phone 3にはボケ感や解像感において一歩及ばない印象だ。また、シャッタースピードは早いとはいえず、動きのあるものを撮ると被写体ブレを起こすことが多かった。しかし、スマートフォンのカメラとしては高い表現力を持ち、バランスの取れた写りを実現している。日常的な撮影からちょっとした風景写真まで、幅広いシーンで活躍してくれるだろう。
AQUOS R9では、シャープ独自の機能に加えて、新たに生成AIを活用した機能が追加された。その代表が「伝言アシスタント」だ。
なお、他社の「AIスマートフォン」では、通話翻訳やボイスレコーダーの文字起こしなどの機能を搭載している機種もある。しかし、AQUOS R9ではそういった機能は搭載されていない。
この背景には、ストアで代替できるツール系アプリはあえて搭載せず、OSレベルでカスタマイズが必要となるような機能の開発にフォーカスするというAQUOSの開発方針がある。生成AIの分野でも、AQUOSは独自の視点で機能を厳選し、効果的な開発を進めているように見受けられる。
伝言アシスタント機能は、通話録音をオンデバイスの生成AIで文字起こしし、音声を聞かずに文字で内容を確認できる。さらに、会話の内容を短く要約する機能も備えており、効率的な情報把握を可能にしている。

伝言アシスタント機能はオンデバイスAIが通話を代わりに受けて文字起こししてくれる。短いスクリプトで文字起こしには30秒ほどかかった(写真=左)。文字起こしした内容を要約する機能も備えている(写真=右)この他にも、千葉県警の協力の元開発された、迷惑電話の警告機能も備えている。
AQUOSの既存機能の中で、生成AI技術と親和性が高そうなのが音声アシスタント「エモパー」だ。エモパーは、スマホがしゃべり出すユニークな機能としてAQUOSユーザーにはおなじみの機能だ。現在のエモパーの基本的な機能は従来機種と変わらないが、今後のアップデートでより自然な対話ができるようになるかもしれない。
その他にも、AQUOS R9は便利な独自機能を搭載している。例えば、指紋センサーに指を当て続けるとスマホ決済アプリが開く「Payトリガー」機能。これにより、決済時のアプリ起動がよりスムーズになる。また、「テザリングオート」機能は、ユーザーが家を出るとテザリングを自動的に開始する。外出時のインターネット接続の手間を大幅に削減できる便利な機能だ。
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