KDDIが東日本物流センターをメディアに公開――大量のiPhoneを出荷するノウハウを物流効率化ツールに生かす石川温のスマホ業界新聞

» 2024年09月01日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 KDDIは2024年8月22日、神奈川県相模原市にある「KDDI東日本物流センター」をメディアに公開した。KDDIでは大阪府茨木市にも西日本物流センターを構えている。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2024年8月24日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。


 物流センターでは、オンラインストアから出荷、auショップや家電量販店、法人顧客への発送などを手がけている。

 1日平均、8万点の入荷と出荷を行っている。各メーカーから配送された来た商品をオーダーに合わせてピッキングし、梱包、出荷、配送を行う。ユーザーから下取りしたスマートフォンや修理依頼品などもここに集まる。今年1月1日に発生した能登半島沖地震の際にはここから350台のStarlinkアンテナが出荷されたという。

 スマートフォンを出荷する際にはSIMカードも同梱されるため、1枚1枚、契約者情報を書き込んで、箱に詰め込まれていた。

 ちなみに取材日は8月22日、Pixel 9シリーズの発売日であったが、倉庫内でPixel 9シリーズが山積みになっている様子は確認できなかった。おそらく、発売日にユーザーの手元に届くということは、前日には出荷を終えていたのだろう。

 ただ、倉庫内に置かれていた段ボール箱を見てみると、やはりiPhoneをそこかしこで見かけるのであった。

 キャリアの物流センターということで繁忙期は毎年9月中旬になるようだ。その際には倉庫中にiPhoneを載せたパレットが山積み、さらに通路にもパレットが並ぶようだ(ちなみに、発売日のどれくらい前からiPhoneが入荷されるのかは教えてもらえなかった)。

 今回、KDDIが物流センターを公開したのは、法人向けビジネスプラットフォーム「WAKONX Logistics」のひとつで物流倉庫内の作業を効率化するソリューション「Nexa Warehouse-Optimizer」の提供を開始したことが発端だ。

 倉庫のデータを利用し、作業工程の最適化や作業員シフトの自動作成を実現するツールだ。商用導入開始が8月22日だったのだが、KDDI東日本物流センターでは8月1日から先行導入をしているということであった。

 実はさらに昨年から試験的にも導入されていたため、9月のiPhone商戦期にも稼働していたという。

 つまり、KDDI東日本物流センターが1年で最も忙しい時期をキチンと乗り越えたシステムといえるのだ。

 おそらく、日本国内では昨今の「物流の2024年問題」もあることから、物流を効率的に行うソリューションは星の数ほどあるだろう。

 そんななか、KDDIの「Nexa Warehouse-Optimizer」は、iPhoneを筆頭に多種多様な製品を、様々な企業やショップ、ユーザーに配送するという経験値が武器となっており、他社への展開がしやすいという強みがありそうだ。

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