のっけからネガティブな話が続いてしまった感はあるが、端末のデザインはうまくまとめられている。本体のアルミフレームは高級があり、何より薄い。徐々に薄型化してきたGalaxy Z Foldシリーズを、一気に抜き去ってきたのは面白い。先代のPixel Foldとの比較では、ヒンジ部分もかなり小型化しており、スタイリッシュさが増した格好だ。
初代Pixel Foldと比べると、内側ディスプレイの周りのベゼルも細くなり、より没入感は高まっている。また、ディスプレイ比率の変更で、外側ディスプレイが縦長になり、操作性は“普通のスマホ”に近づいた。先に挙げたXのタイムラインのように、縦にズラッとコンテンツが並ぶスマホ特有のUIには、こちらの方が合っている。外側ディスプレイのサイズは6.3型。Pixel 9やPixel 9 Proと同サイズに設計されているため、片手でも操作できる。
ただし、横幅は77.1mmとPixel 9やPixel 9 Proの72mmより、5mm以上大きい。そのため、よりスリムな68.1mmのGalaxy Z Fold6と同じようにギュッと握ることは難しい。片手操作は可能だが、それがしやすいかというと別問題だ。逆に画面に表示される文字などは大きくなり、キーボードは打ちやすい。どちらがいいかは一長一短だが、個人的には握りやすいGalaxy Z Fold6の方が好みに近い。
ヒンジの機構にも改良が加わっており、初代Pixel Foldよりも滑らかに開閉できる。内側ディスプレイの折り目も薄くなった。折り目が完全になくなったわけではないが、目立ちにくくなったことは確かだ。フォルダブルスマホの内側ディスプレイは、経年劣化で折り目がよりつきやすいため、もっと長期間使ってみないとその優劣は判断しづらいものの、改善されていることは間違いない。
カメラの構成はPixel 9 Proと同じ、超広角、広角、望遠のトリプルカメラだが、スペックは少々異なる。メインの広角カメラは、他のPixel 9シリーズが50メガピクセルなのに対し、Pixel 9 Pro Foldは48メガピクセルで、画素数にすると200万画素ほど少ない。これは、他モデルのセンサーが1/1.31型なのに対し、Pixel 9 Pro Foldが1/2型だからだ。センサーサイズは初代Pixel Foldから大型化していないことになる。
とはいえ、そこはもともとカメラ機能に定評のあるPixel。暗所での写りも含めて、撮れる写真のクオリティーは高い。一方で、Proを冠しながらも、動画の画質を向上させる「動画ブースト」の8K撮影には非対応。プロモードで画素数をそのまま生かして撮る超高解像度撮影にも対応していない(そもそも48メガピクセルなので)。また、Pixel 9 Proが対応した、動画の超解像ズームも利用できない。同じProでも、スペック差や機能差があるのは少々ややこしい点といえそうだ。
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