ローソンをはじめとするコンビニは、食品や日用品を安定供給できる「社会インフラ」として欠かせない存在となっている。中西氏はその未来像の姿を「リアクテックコンビニ」といい表す。
ローソンは2024年現在、国内に1万4900店舗、グローバルにも8000近い店舗を展開している。「2024年はこれらの実店舗を拠点とし、ここにテクノロジーをしっかりと入れることで、グローバルにリアルテックコンビニエンスを展開できるローソングループにする」と竹増氏はアピールする。
その具体的な店舗が「Real×Tech LAWSON」だ。2025年春、KDDI本社の移転先である「TAKANAWA GATEWAY CITY」(東京・港区)に、ローソンを2店舗(オフィスフロアと一般フロア)オープンする。人手不足や食品ロスなど、小売店の運営上の課題を、デジタル技術の活用で解決する目的の一環となる。
この店舗は「社会課題解決のための実験場」だという高橋氏は、ここで体験できる内容を5つ紹介した。
1つ目はAIとサイネージの活用による購買体験の変革だ。「スマートフォンでの決済」「AIカメラを活用した商品のレコメンド」「街の天気やイベントなどと連動したサイネージ」などにより、来店者が本当に欲しい商品を簡単に買いやすくなる。
2つ目はAIロボティクスによる業務の改善。品出しや清掃、オフィス内への配送をロボットに頼ることで、人手不足の解消につなげる。
続く3つ目はクイックコマース。天候、購買データ、配送員の位置、人口動態を分析し、需要予測や食材手配を最適化して、「最短15分での配送を実現する」(高橋氏)という。「既に中国で実現している短区間でのデリバリーが日本でも活用されていく」(高橋氏)
4つ目はリモート接客。店舗内の専門スタッフが通信、電気、ガスなどの生活に欠かせないインフラサービスの相談に応じる。将来的にはAIの活用も検討しているという。
5つ目はデジタルツインの店舗の整備だ。「スタートアップ企業の技術をシミュレーションし、その結果をリアルに動かしていくようなデジタルツインを、コンビニエンスストアでも作り上げていく。KDDIは1000億円程度かけて、GPUプラットフォーム(AIの学習基盤)を準備する。これを活用すれば、バーチャルの世界で、さまざまなシミュレーションを実行できる」(高橋氏)
3社は今後、高輪店での実証結果をもとに、Real×Tech Convenienceの仕組みを構築し、他店舗への拡大も目指す他、三菱商事が有する海外での事業ネットワークなどを最大限活用し、ローソンの海外展開(既存展開エリアを含む)を支援していく。
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