―― 冒頭で大沼さんがサラッとお値段据え置きとおっしゃっていましたが、円安傾向を考えるとなかなかできないですよね。そこはXiaomi Japanとして頑張ったところでしょうか。むしろ、大丈夫かどうかちょっと心配になってしまいますが。
大沼氏 はい。そこは頑張っています。当然、赤字でつぶれてしまったら意味がないので、そこのご心配は不要です(笑)。本社も含め、日本は大きな市場という認識で一致しています。
―― 今年は、Proとノーマルモデルの機能差が大きくなったようにも見えます。これで売れ行きなどは変わりそうでしょうか。
安達氏 確かに去年はセンサーなどのデバイスやデザインが同じでしたが、今年は差分が出ています。メインセンサーはProの方が大きいですし、ズームの倍率もProとノーマルモデルでは異なっています。海外で、あそこまで同じだと売り分けづらいというフィードバックがあったのかもしれませんが、今年はカラーや素材感でも差をつけています。
―― ちなみに、今回もノーマルモデルはKDDI、Proはソフトバンクです。結果として今年も前回を踏襲したということでしょうか。
大沼氏 昨年から1年がたち、話し合いの中で今回もそうしていこうという流れになりました。もちろん、未来永劫(えいごう)そうというわけではなく、来年(2025年)になったら違ったことを言っているかもしれません。事業者側がユーザー層や価格とのバランスを考えた上での決定になるので、こちらから詳しいことはいえませんが、いろいろな話し合いはしています。その代わりというわけではありませんが、auからは回線とひも付かない形でXiaomi 14 Ultraを出していただいています。
―― Xiaomi 14 Proのオープンマーケット版は、MVNOでも販売していくのでしょうか。
大沼氏 それはこれから頑張らなければいけないところです。現時点では販路は未定です。グローバルで発表してからすぐにお披露目したので、交渉はこれからになります(※11月19日にIIJがXiaomi 14T Proの取り扱いを発表した)。
―― 今回も、スマホと一緒に家電やライフスタイル製品を発表しました。このスタイルが定番になりつつありますね。
大沼氏 この部分はグローバルの方が先に進んでいて、生活家電からIoT製品までそろっています。日本においても、そういったことはやっていきたい。ただし、何でもかんでもすぐに持ってくるというわけにはいきません。法令での規定もあるので、1つ1つ間違えないよう、慎重にやっています。
―― ラインアップが増えると、ショップも必要になりそうです。
大沼氏 そういったところも拡大しなければなりません。ポップアップストアでの経験や課題を精査しながらですね。中国、香港、台湾ではしっかりショップが立ち上がっていますが、日本も同じようにしていかなければなりません。流通や価格の考え方は異なりますが、目指しているのはそういったところです。
安達氏 通常のスマホメーカーだと年2回ぐらい大きなローンチがあります。一方で、昨年ぐらいから、家電製品だったり、スマホとは関係のない商品を出したりしたことで、ユーザーやメディアとの接点が増えたと思っています。確かにスマホの新製品は大きな区切りにはなりますが、そういった製品で常にXiaomiのニュースやブランドに触れていただければ、面白そうと思ってご購入いただけるものも増えてきます。日本で少しずつ認知が広がり、受け入れられてくれればと考えています。
―― スマホやタブレット以外だと、どんな製品が売れ筋ですか。
安達氏 結構ありますが、Buds(ワイヤレスイヤフォン)は実際に伸びています。安いのもそうですし、1万円以下でノイズキャンセリングが付いている「Redmi Buds 5 Pro」はコスパがいいと好評でした。他にも、スマートバンドは定番商品です。スマートウォッチも、3980円で出した「Redmi Watch 5 Active」は動きがいいですね。安いものだとノーブランドに近いものも多いですが、Xiaomiの製品はアプリもご用意して、サポートもしっかりしているブランドのお手頃な製品として評判になっています。
―― スマホと連携しないような製品だといかがですか。
安達氏 チューナーレステレビも、結構な数が出ました。100型は誰が買うんだという声もありましたが、あれも結構な売れ行きです。
大沼氏 それが今後も続くのか、点としての現象なのかは分かりませんが、正直数には私も驚きました。広い家って結構あるんだなと(笑)。商品や品ぞろえが豊富にご提供できる力強さを見せたかったというのが投入の狙いです。
シャープとのバッティングもあり、これまで日本市場でライカブランドを冠することができなかったXiaomiだが、Xiaomi 14 Ultra投入時にその問題も解決された。結果として、コストパフォーマンスに優れたXiaomi 14T/14T Proの魅力も大きく高まることになった。これまでは充電速度にフォーカスした訴求をしていたが、2024年はいよいよその本領を発揮できるようになったといえる。反響を見ると、大沼氏がコメントしていたように、Xiaomi 14 Ultraの余韻がある中での発表も正解だったことが分かる。
日本市場で順調に存在感を高めているXiaomiだが、取り扱いキャリアの拡大は今後の課題といえるかもしれない。規模を追い求めるのであれば、中国ブランドの製品発売に二の足を踏んでいるように見えるドコモの“攻略”も必須になる。また、本インタビュー後にシャープもフラグシップモデルの「AQUOS R9 pro」を発表し、Xiaomi 14 Ultraに真っ向から対抗してきた。“もう1社のライカスマホ”がある日本市場では、他国以上にユーザーへのアピールも必要になりそうだ。
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