AQUOS sense9のプロセッサはSnapdragon 7s Gen 2を採用している。メインメモリは販売元によって6GB版と8GB版が存在しており、6GBまでの仮想メモリを設定できる。今回は8GBで試してみたが、実際にSNSやブラウザ、動画再生アプリを切り替えてもカクつきやストレスは少ない印象だった。
ただし、上位モデルと使い比べると、ブラウザの読み込みで差を感じる瞬間があった。例えばChromeのシークレットタブでITmedia Mobileのトップページを開いたとき、Google Pixel 9 Pro(Tensor G4搭載、メモリ16GB)では1.5秒で表示されるのに対して、AQUOS sense9では約3秒かかる。こうした細かな使い勝手の差は価格を反映したものといえそうだ。ゲームのように高負荷なシーンでも、さすがにフレームレートを落とすなどの調整が必要になるだろう。
本体のハプティクス(振動フィードバック)はコトコトと柔らかく、安価なスマホでありがちな“ビリビリ”とした不快感がないのが好印象だ。キーボード入力時のかすかな振動が心地よく、通知が来た際にも突き刺さるような振動ではない。こうしたささいなポイントが、毎日使うスマホの満足度を左右するのだと改めて感じさせる。
なお、「GeekBench 6」のCPUベンチマークスコアはシングルコア性能で961、マルチコア性能で2713と、ミッドレンジ帯のGalaxy A54と近い結果になった。ゲーム向けのベンチマーク「3D Mark」のWild Lifeテストの結果は3056で、平均フレームレートは18.30FPSだった。
シャープのスマホらしく、本機にも独自の工夫が多い。「AQUOSトリック」の代表例である「Payトリガー」は、右側面の指紋センサーを1秒ほど長押しすると決済アプリを呼び出せる仕組みだが、人によっては誤反応が起きやすい面もあるため、最初のうちは使い方に慣れる必要があるかもしれない。
「テザリングオート」はGPSと連動し、自宅やオフィスを離れると自動的にテザリングをオンに切り替えるなど、移動が多い人には助かる機能だ。通話録音や未登録番号警告など迷惑電話対策にも対応しており、地味だがありがたい。
なお、AQUOSトリックではないが、シャープ独自の音声アシスタント「エモパー」も引き続き搭載している。スマホが落下した際に「いてっ」とリアクションしたり、ニュースを読み上げたりして、ユーザーの生活に寄り添うような体験を演出する。ただ、スマホが積極的に話しかけてくるのを煩わしく思う人もいるため、好みに合わせてオン・オフを調整した方がいいだろう。
一方で、AQUOS R9が搭載するAI系の機能「電話アシスタント」はこのスマホでは非対応となっている。掛かってきた留守電を文字起こしするなどの機能があるが、sense9ではスペックが不足するため使えない。
従って、AQUOS sense9は昨今の「AIスマホ」のブームからは外れた比較的ベーシックなスマホといえそうだ。ただしそれでも、Googleの「かこって検索」はソフトウェアアップデートによって対応した。
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