Galaxyの最新スマートフォン「Galaxy S25」シリーズは、AI機能の進化を特徴としているが、このAIの力を駆使しながら、カメラ機能の完成度も高めている。
今回、サムスン電子の韓国本社にて、MX(Mobile eXperience)事業本部ビジュアルソリューションチーム長・副社長ジョシュア・チョ(Joshua Cho)氏に、S25シリーズのカメラ機能で注力したポイントをうかがった。また、韓国の街中で試したカメラの実力もお伝えする。
チョ氏によると、Galaxyが搭載するカメラでは、以下の3点を「哲学」として重視している。
1と2は連動しており、ハードウェアの品質が高いほど、手軽に高品質な写真を撮れるようになる。
Galaxy S25とGalaxy S25 Ultraのカメラ構成は以下の通り。
Galaxy S25とGalaxy S25 Ultraの違いは、望遠カメラと超広角カメラだ。S25 Ultraの方が、より高解像度で遠くまでズームでき、超広角カメラも高解像度で撮影できる。超広角カメラについては「ディテールの解像度が4倍以上向上」(チョ氏)し、「マクロ撮影も画質が上がり、34%多くの光を取り込める」とのこと。AIを活用した超解像処理によって、デジタルズームを組み合わせると最大100倍のズームを可能としている。
スペックだけを見比べると画素数以外の違いが分かりにくいが、Galaxy S25シリーズのカメラは従来モデルからどう進化したのか。
1つは、動きのある被写体を撮影する際の品質を向上させたこと。「シャッタースピードが速いほど、動くものをより正確に捉えられるが、光量が少なくなるのでノイズが発生する。S25シリーズではシャッタースピードを速くしながらもノイズを最小限に抑える技術を開発した。これにより、動くものもより鮮明に捉えられる」(チョ氏)
写真もエフェクトをかけるフィルターでは、AIを活用することで、アナログ写真の雰囲気を出せるフィルターを新たに採用した。「アナログフィルムで撮った写真をたくさん学習させ、どのような写真でもアナログカメラのような印象を出せるようにした」という。さらに、アナログ写真特有のノイズも学習させ、ノイズの強度を調節することも可能にした。
夜間の動画撮影機能も改善した。「夜景を撮ると空にノイズが残るが、ノイズも適切に処理できるよう、新たに開発したノイズ除去フィルターによって低照度の環境でも美しく撮影できるようにした。同じ場所でS24 UltraとS25 Ultraで撮影してみたが、空のノイズを見ると、25の方が処理性能が高いと分かる」とチョ氏は自信を見せる。
ソフトウェア面で注目したいのが、カメラの絞り値を仮想的に調整できる「バーチャルアパーチャー(仮想絞り)」に対応したこと。これは、Galaxy Storeから入手できるカメラ編集アプリ「Expert RAW」から利用できる。この機能でもAIを活用しており、「F2.4からF16までの絞りを全て学習させるために20万枚もの写真を学習させた」(チョ氏)という。Expert RAWをインストールすれば、カメラアプリの設定から利用できるようになる。
絞り値をコントロールすることでぼけ具合を調整でき、小さいほど被写体周囲のぼけが大きく、大きいほどピントの合う範囲が広くなる。被写体を強調させたいときや、自分好みのポートレートを撮影する際に活用したい。
なお、GalaxyではGalaxy S9/S10シリーズにて、ハードウェアによってF1.5とF2.4の2段階で絞り値を変更できる「可変絞り」に対応しており、撮影環境に応じて自動でF値が切り替わることを特徴としていた。この可変絞りはGalaxy S20シリーズ以降、搭載されていないが、今後、可変絞りが復活する可能性はあるのか。
チョ氏に尋ねたところ、「ハードやAIの進化は速く、仮想絞りと可変絞りのさまざまな組み合わせを構想している」とのこと。Galaxy S25シリーズでは、AIを活用した仮想絞りを搭載したが、「仮想絞りはS26やS27でもさらに発展させる」と同氏。一方、今後のデバイスは「仮想絞りも可変絞りも視野に入れて開発している」とのこと。
ハードとソフトのバランスをどう取るかは、カメラのセンサーサイズにも関連する。シャープやXiaomiなどのハイエンドモデルでは、1型の大きなセンサーをカメラに採用しているが、Galaxyの現行ハイエンド機では1型センサーは採用していない。チョ氏によると、サムスンでも大きなセンサーはテストしているが、AIが進化することで、大型センサーと同様の特徴を出せるとする。
センサーサイズが大きいと、より多くの光を受けノイズを減らせるようになるが、これはAIでもある程度カバーできる。「どのようなタイミングで大きなセンサーやアルゴリズムを提供するかを考えている」(チョ氏)とのことで、ハードとソフト(AI)の合わせ技でカメラの性能を底上げしていく考えを示した。
カメラレンズの選定基準については「今の時代に最適な組み合わせは何か、消費者にどのようなメリットをもたらすか」(チョ氏)を考え、明るさや絞り値を調整しているという。「その年によって提供されるレンズの設定値が違い、今提供しているレンズの組み合わせが最善の選択だ」(同氏)
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