編集機能にもAIを取り入れている。代表的な機能が「AI消しゴム(オブジェクト消去)」だ。Pixelの「消しゴムマジック」をはじめ、背景に写っている不要な人や物を消去する機能は多くのスマホで採用しているが、Galaxy S25シリーズでは、オブジェクト除去の精度を高めている。
チョ氏によると、Galaxy S24シリーズでは人物を選択して消去した際に、その影が残ってしまい「お化けのように見えていた」。しかしGalaxy S25シリーズでは、消去したい人物を選択すると、影も一緒に除去できるようになった。
このオブジェクト除去の精度を、韓国のショッピングモール「コエックスモール」の図書館「スターフィールド」で試してみた。このスターフィールドでは大勢のお客さんでにぎわっており、図書館の広大な様子を写真に収めようとすると、必ずどこかに人が写り込んでしまう。
こういうシーンでこそ、AI消しゴムが活躍する。Galaxy S25 Ultraで撮影した図書館で写り込んでしまった人たちは、編集画面から大まかになぞるだけで選択されていく。特に小さく写り込んでいる人を正確に囲むのは難しいので、こういう場面でもAIを活用してくれているのはありがたい。影は完全に削除とはいかないようだが、不自然さは軽減されていると感じた。大勢の人物を手軽に除去し、自然な形で消した分の画像を生成してくれる精度の高さは特筆に値する。
もう1つのAI機能として、動画内のノイズを除去する「オーディオ消しゴム」にも注目したい。音源を音声、音楽、風、自然、人込み、ノイズといった6つのサウンドに分析し、除去したいサウンドを手動で調節できる。例えばミュージックビデオでは、楽器の音を消してボーカルの音だけを残したり、逆のパターンとしてボーカルの声を消して楽器の音だけを残したりできる。
スマートフォンのカメラ機能は成熟化が進み、画素数やカメラレンズの数、センサーサイズなどは行き着くところまで到達した感がある。ハードウェアを専用カメラ並みに強化する方向性もあるだろうが、スマートフォンの本体サイズを考えると現実的ではない。AIは、こうしたハードウェアの制約を解消する1つの答えになる。
ノイズが乗ってしまう、ズームをすると画質を荒くなってしまうといった、スマホカメラ特有の課題も、AIならある程度解消できる。そしてGalaxy S25シリーズは、撮影から編集まで多岐にわたってAIの力を駆使している。サムスン電子がカメラ機能で重視している「誰もが簡単に高品質の写真を撮れる」カギを、AIが握っていることは間違いない。
もちろん、AIが真価を発揮するには、ベースとなるハードウェアの完成度も重要になる。サムスン電子は今後、AIとハードをどのように融合させていくのか。そしてそれが、撮影体験をどう高めてくれるのか。今後の進化にも期待したい。
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