スマホで「マイナンバーカードの電子証明書」を使うメリットを解説 iPhoneへの対応は?(1/2 ページ)

» 2025年05月01日 12時32分 公開
[小山安博ITmedia]

 マイナンバーカードの特徴の1つである電子証明書を使ったJPKI(公的個人認証)。マイナンバーカードのICチップ内に電子証明書を保管して、オンラインでの本人確認を確実に行えるというメリットがある。

 そのJPKIをスマートフォンにも搭載する動きが進められている。今回はその「電子証明書のスマートフォン搭載」に関して解説する。

マイナンバーカード スマートフォンでマイナンバーカードの電子証明書を使うメリットを解説する

物理カード不要で本人確認が可能に

 前回の記事で説明した通り、マイナンバーカードのICチップにはアプリケーション(AP)として複数の機能拡張が可能となっている。その中に公的個人認証APがあり、そこには2つの電子証明証書が保管されている。

 現代のスマートフォンは、カードのICチップと同等の安全性を備えた領域があり、ICチップと同じ仕組みのSE(セキュアエレメント)、SoCのプロセッサ内のセキュア領域であるTEE(Trusted Execution Environment)、それと似た仕組みのApple独自実装であるSecure Enclaveの3種類が一般的だ。こうした領域には、例えば決済用にクレジットカード情報が保管されており、AppleウォレットやGoogleウォレットでも活用されている。

 こうした領域はICカードのチップと同レベルのセキュアな環境なので、安全に電子証明書を保管することができる。そうして実現したのが、「スマホ用電子証明書搭載サービス」だ。これによって、スマートフォンだけでマイナンバーカードのJPKIと同等の機能を実現しようとしている。

 スマホ用電子証明書は、マイナンバーカードを使ってスマートフォン内に電子証明書を発行することで実現する。マイナポータルアプリを使ってスマホ用電子証明書発行を選ぶと、マイナンバーカードをスマートフォンにタッチして本人確認をした上で、証明書を発行する。

マイナンバーカード スマートフォン(Android)に保存するスマホ用電子証明書

 基本的には、主となるマイナンバーカードの電子証明書に対してサブという位置付けだが、機能としてはおおむね同じことができる。スマートフォンに内蔵されているため、物理カードが不要になるのが最大のメリットだ。

 スマホ用電子証明書では、利用者証明用電子証明書と署名用電子証明書の双方が利用でき、利用者証明用電子証明書の場合、暗証番号の代わりに、スマートフォンのロック解除機能(生体認証)を使うこともできるため、利便性も向上する。

マイナンバーカード 利用者証明用電子証明書を使ったログイン(当人認証)では、生体認証を使ってログインできる

 同様に、署名用電子証明書ではスマートフォンだけで身元確認などができるようになる。この場合、従来のeKYCのようにカード券面と自撮りを撮影することなく、単にパスワードを入力するだけなので、仮に電車内で立ったままでも、サッと身元確認をして携帯電話を契約する、といったこともできる。

マイナンバーカード スマホ用電子証明書を発行する場合、対応スマートフォンとマイナンバーカードを利用する

 この利便性の高さと安全性の高さの両立が、スマホ用電子証明書によるJPKIのメリットだ。

マイナンバーカード これまでは、カードを撮影して、さらに自撮りも撮影しなければならなかったので、外出先で手軽に実行するわけにもいかなかった

対応機種はおサイフケータイ対応Androidスマートフォンのみ

 対応するのは、現時点ではAndroidスマートフォンのみ。さらにデジタル庁が検証して安全性が確認された機種で利用ができる。対応機種はマイナポータルのサイトに掲載されている。一時期は新機種の対応が遅れていたが、最近は確認が早くなってきているので、最新機種でも比較的早期に対応するようになった。

 Androidの場合、GlobalPlatform仕様のセキュアエレメント(SE)である「GP-SE」が搭載されていることが多い。2023年にはGlobalPlatform仕様のSE搭載端末は世界で620億台が出荷されたという。2024年には全てのSE搭載端末の90%がGlobalPlatform仕様のSEだったそうだ。

 国際標準の仕組みだが、スマホ用電子証明書ではフェリカネットワークスが担当しており、おサイフケータイ対応端末に限定されている。そのため、基本的に使えるのは「日本で発売されている」「日本向けにおサイフケータイに対応した」端末のみだ。結果として、グローバル端末をそのまま販売している場合に対応できない点は課題だ。

マイナンバーカード システム構成。SEの発行者が運営するSEI-TSMがJPKIアプレットを格納しており、GP-SE内に電子証明書などを保管して利用する
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月26日 更新
  1. 「0.2秒で冷却」をうたうペルチェ素子搭載の腰掛けファン Amazonで53%オフ (2026年07月24日)
  2. ドコモが「iPhone 17」シリーズや「iPhone Air」を値上げ 一部機種は残価も引き上げ、実質負担額の影響は? (2026年07月24日)
  3. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  4. 330円で手に入る「足元灯」「非常灯」 充電式になって利便性向上 (2026年07月25日)
  5. 従来の健康保険証は7月31日で利用不可に 8月1日以降は「マイナ保険証」の利用を (2026年07月24日)
  6. 界面活性剤とマイクロファイバーでタッチパネルをきれいに! ダイソーで220円の「スクリーンクリーナー」を試す (2026年07月25日)
  7. サムスンが「Galaxy Z Fold8」で横長折りたたみを投入する理由 AIの進化にもマッチ、“iPhone包囲網”も万全か (2026年07月25日)
  8. なぜ「LINE VOOM」は嫌われたのか 保護者を悩ませた“子供たちの抜け道” (2026年07月24日)
  9. モトローラから新しいミドルレンジスマホ「moto g37」シリーズ登場 ソフトバンク、楽天モバイル、ドコモも取り扱い (2026年07月24日)
  10. ドコモ販売ランキング:新発売の「Xperia 1 VIII」が上位にランクイン【2026年6月】 (2026年07月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー