スマホ用電子証明を利用すれば、コンビニエンスストアのキオスク端末(マルチコピー機)で住民票の写しや印鑑証明書などの証明書を取得できる。
その他のサービスはまだ多くない。マイナンバーカードの署名用電子証明書を使った身元確認に対応した例は増えてきているが、スマホ用電子証明書を使った例は、NTTドコモなど一部に限られて多くはない。
利用者証明用電子証明書に関しては、マイナンバーカードを使ったログインでも現状は対応サービスが少ない上に、スマホ用電子証明書を使ったログインに対応したサービスはほとんどない。
例えばe-Taxのように、マイナポータルと連携して利用者証明用電子証明書を使ったログインが可能な行政サービスはあるが、そうしたサービスは限られている。そのため、デジタル庁は「デジタル認証アプリ」を提供して民間の対応サービスを増やそうとしているが、現時点ではスマホ用電子証明書に対応しておらず、対応サービス数も増えていない。
スマホ用電子証明書自体はiPhoneに対応しておらず、Android端末でしか使えない点も課題だ。マイナンバーカードを使ったJPKIはiPhoneも使えるが、スマホ用電子証明書は使えないため、iPhoneでは物理カードが必要になる。これは技術的な問題というよりも、日本独自対応が必要となるスマホ用電子証明書へのサポートをApple側が避けたのではないかと考えられるが、具体的な理由は明らかになっていない。
その代わり、マイナンバーカード自体をmdocと呼ばれるデータ形式でスマートフォンに保管する「マイナンバーカード機能のスマートフォン搭載」は、2025年春の終わり頃にiPhoneから搭載されることになっている。
この機能はAppleウォレットの標準的な機能として利用できるため、Apple側も対応に前向きになったのだろう。Appleウォレットに搭載されるのは氏名・住所・生年月日・性別という基本4情報を含むマイナンバーカード機能で、電子証明書も同時に使えるようになることから、iPhoneでもスマホ用電子証明書と同様のことができるようになる。
スマホ用電子証明書搭載サービスは、マイナンバーカード機能の一部をAndroidに先行して搭載したというイメージだが、今春以降は、マイナンバーカード機能が一通り、スマートフォンに搭載できるようになる。これに関しては別稿で説明したいと思う。
マイナンバーカードの「スマホ電子証明書」を使う 注意すべきポイントは?
マイナンバーカードの「電子証明書」とは? 安全に本人確認ができる理由
電子証明書の期限が切れると「マイナ保険証」はどうなる? 切れる前に電子証明書/カードの更新がオススメだが救済策もあり
マイナンバーカードを使った本人確認を手軽に デジタル庁が「デジタル認証アプリ」を公開 無料で利用可能
3月24日からスタートする「マイナ免許証」にしない方がいい人は? メリットとデメリットをチェックCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.