5月11日、「マイナンバーカード(個人番号)」の電子証明書をAndroidスマートフォンに搭載するサービスが始まりました。
早速、電子証明書をダウンロードしてみた……のですが、その際に「改めて注意点を知らせた方がいい」と思ったので、お伝えしようと思います。
過去に本件を取り上げた記事に対する反応を見てみると、「スマホ用電子証明書がマイナンバーカードの代わりになる」と考えている人が少なからずいたようです。「マイナンバーカードをわざわざ申請しなくて済むようになるの?」という人も見受けられました。
まず大前提として、スマホ用電子証明書はマイナンバーカード“そのもの”ではありません。もっというと、発行するにはマイナンバーカードの原本が必要です。
あくまでも、マイナンバーカードを持っている人を対象とする付加価値サービスだという認識を持っておきましょう。
マイナンバーカードのICチップには、大きく5つの機能(アプリケーション)が搭載されています。しかし、現時点でスマホに搭載されるのは、利用者証明用電子証明書と署名用電子証明書を保存するための「JPKI-AP(電子証明書アプリケーション)」のみとなり、以下の4つの機能は備えません。
(※1)利用者証明用電子証明書、券面事項入力補助AP、住基カードAPの暗証番号はそれぞれ個別に設定可能(同じにしても構わない)。ただし、生年月日やセキュリティコード(カード表面にある4桁の数字)は設定できない
デジタル庁によると、条例利用AP以外の機能は今後実装する予定とのこと。スマホが“完全な”マイナンバーカード代わりになるのは、もう少し先の話となりそうです。
マイナンバーカードのスマホ用電子証明書は「マイナンバーカードの電子証明書の代替」という扱いとなるため、理論上は利用者証明用電子証明書、または署名用電子証明書を利用する手続きでのみ使えます。ただし、一部の手続きはシステム改修とのことで、すぐには使えません(詳しくは後述します)スマホ用電子証明書には「利用者証明用電子証明書」と「署名用電子証明書」の2種類があり、両証明書が必要な手続きで利用できます。両証明書の用途と使い方を簡単にまとめると、以下の通りです。
先述の通り、今回のスマホ用電子証明書はマイナンバーカードの“完全な”代替ではありません。そのこともあってか、上記の証明書を利用する一部のシステムでは改修を行う必要があり、利用開始が後日となる場合もあります。現時点での対応スケジュールは以下の通りです。
(※2)引っ越し(転居/転入)手続きは7月から、e-Tax(確定申告)での利用は2024年度から対応予定
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