コラム
» 2023年05月15日 06時00分 公開

マイナンバーカードの「スマホ電子証明書」を使う 注意すべきポイントは?(1/3 ページ)

マイナンバー(個人番号)カードの付加サービスとして、Androidスマートフォンを対象とする「スマホ用電子証明書」の提供が始まりました。実際に使ってみた上で、改めて注意点をまとめてみました。

[井上翔ITmedia]

 5月11日、「マイナンバーカード(個人番号)」の電子証明書をAndroidスマートフォンに搭載するサービスが始まりました。

 早速、電子証明書をダウンロードしてみた……のですが、その際に「改めて注意点を知らせた方がいい」と思ったので、お伝えしようと思います。

電子証明書 Androidスマートフォンで「マイナンバーカード」の電子証明書をダウンロードできるようになりました

スマホ用電子証明書≠マイナンバーカード

 過去に本件を取り上げた記事に対する反応を見てみると、「スマホ用電子証明書がマイナンバーカードの代わりになる」と考えている人が少なからずいたようです。「マイナンバーカードをわざわざ申請しなくて済むようになるの?」という人も見受けられました。

 まず大前提として、スマホ用電子証明書はマイナンバーカード“そのもの”ではありません。もっというと、発行するにはマイナンバーカードの原本が必要です。

 あくまでも、マイナンバーカードを持っている人を対象とする付加価値サービスだという認識を持っておきましょう。

マイナンバーカード マイナンバーカードのスマホ用電子証明書を利用するには、マイナンバーカード“そのもの”が必要です。手元にない場合は発行自体ができないので注意しましょう

 マイナンバーカードのICチップには、大きく5つの機能(アプリケーション)が搭載されています。しかし、現時点でスマホに搭載されるのは、利用者証明用電子証明書と署名用電子証明書を保存するための「JPKI-AP(電子証明書アプリケーション)」のみとなり、以下の4つの機能は備えません。

  • 券面アプリケーション(AP):カードの券面情報を画像として保管
    • 表面はもちろん裏面の情報も記録している
    • 券面が物理的に改ざんされていないかどうかをチェックする際に利用する
  • 券面事項入力補助AP:カードの券面情報をテキストデータで保管
    • 保管されているのはマイナンバー(個人番号)と「基本4情報」(氏名、住所、生年月日、性別)
    • 保管データを“全て”読み出すには、4桁の暗証番号(※1)が必要
    • 保管データの一部を読み出すには、カードに記載された所定の情報が必要
  • 住基AP:カードの所有者に割り当てられた「住民基本台帳番号」を保管
    • 読み出すには、4桁の暗証番号(※1)が必要
  • 条例利用AP:国または地方自治体が独自に利用できる領域(空き領域)
    • 国が利用する場合は、総務省(総務大臣)が利用方法を定義する
    • 地方自治体が利用する場合は、別途条例を定めて利用方法を定義する

(※1)利用者証明用電子証明書、券面事項入力補助AP、住基カードAPの暗証番号はそれぞれ個別に設定可能(同じにしても構わない)。ただし、生年月日やセキュリティコード(カード表面にある4桁の数字)は設定できない

 デジタル庁によると、条例利用AP以外の機能は今後実装する予定とのこと。スマホが“完全な”マイナンバーカード代わりになるのは、もう少し先の話となりそうです。

証明書 マイナンバーカードのスマホ用電子証明書は「マイナンバーカードの電子証明書の代替」という扱いとなるため、理論上は利用者証明用電子証明書、または署名用電子証明書を利用する手続きでのみ使えます。ただし、一部の手続きはシステム改修とのことで、すぐには使えません(詳しくは後述します)
マイナンバーカード 本来、マイナンバーカードのICチップには5つの機能が搭載されています。今回実装されたのは「JPKI AP」だけなので、マイナンバーカード“そのもの”からはほど遠い感じです
方針 デジタル庁では、JPKI AP以外のマイナンバーカードの機能についても今後搭載する方針を示しています。それが実現すれば、マイナンバーカードの“代わり”としての利便性は高まりそうです

電子証明書に対応する手続きで利用可能(現時点では一部利用不可)

 スマホ用電子証明書には「利用者証明用電子証明書」と「署名用電子証明書」の2種類があり、両証明書が必要な手続きで利用できます。両証明書の用途と使い方を簡単にまとめると、以下の通りです。

  • 利用者証明用電子証明書:サービス利用者の本人確認で利用
    • あらかじめ設定した4桁の暗証番号を使って読み出す
    • 現在は「マイナポータル」へのログインや、コンビニエンスストアでの公的証明書発行サービス(一部市区町村のみ対応)などで利用している
  • 署名用電子証明書:電子文章に添付するために利用
    • あらかじめ設定した6文字以上16文字以下のパスワードを使って読み出す
    • 現在は「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」や金融機関などの各種手続きにおける電子書類提出時に利用している

 先述の通り、今回のスマホ用電子証明書はマイナンバーカードの“完全な”代替ではありません。そのこともあってか、上記の証明書を利用する一部のシステムでは改修を行う必要があり、利用開始が後日となる場合もあります。現時点での対応スケジュールは以下の通りです。

  • 既に利用できるサービス
    • マイナポータルへのログイン/利用(※2)
    • 電子証明書を利用する民間サービスへのログイン/利用(サービスごとに順次)
  • 2023年内に対応予定
    • コンビニエンスストアでの公的証明書発行サービス(一部市区町村のみ対応)
  • 2024年度内に対応予定
    • 健康保険証としての利用

(※2)引っ越し(転居/転入)手続きは7月から、e-Tax(確定申告)での利用は2024年度から対応予定

できること スマホ用電子証明書は、マイナンバーカードの電子証明書が必要なシーンで同じように使える……と思いきや、一部のサービスはシステム改修が必要なので後日対応となります
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