「ほぼ全員」にはほど遠い マイナンバーカードがなかなか普及しない理由(1/2 ページ)

» 2022年10月17日 11時25分 公開
[金子麟太郎ITmedia]

 日本国内における行政関連手続きで個人を特定すべく、識別番号が付与されるプラスチック製のICチップ付きのマイナンバーカード。

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 2022年10月2日時点での申請枚数は7000万枚で、9月末時点での人口に対しての普及率は49%となっている。政府は23年3月末までに「ほぼ全員が取得」を目指すという。

 マイナンバーカード所有者がキャッシュレス決済事業者を選択し、購入金額またはチャージ金額に対して一定額の特典が各決済サービスのポイントで還元される。

 そのマイナポイント事業の第2弾について、総務省は当初9月末までとしていたマイナンバーカード(個人番号カード)の申請期限を「2022年12月末」に延長した。これにより、2022年内にマイナンバーカードを申請すればマイナポイント第2弾に応募できるようになる。

 そんなマイナポイントとも深い関係を持つマイナンバーカードについて、現状の課題を整理してみたい。

マイナンバーカードの申請に時間がかかる

 マイナンバーカードは個人番号、つまり特定の個人を識別するための番号が付与され、氏名や住所、生年月日などの個人情報が1枚で分かるプラスチック製のICカード。発行するには申請手続きが必要になる。

 メリットとしてよく聞かれるのが「身分証明書になるから」「マイナポイントがもらえるから」などの理由。このうち、マイナポイントについては、9月末までとされていたマイナンバーカードの申請期限が「2022年12月末」に延長となったことで、2022年内にマイナンバーカードを申請すればマイナポイント第2弾に応募できる。応募締め切りは「2023年2月末」となっている。

 マイナポイントは以前にも紹介しているが、マイナンバーカードの取得後に対象のキャッシュレス決済を選び手続きをすると、合計最大2万円分のマイナポイントがもらえるという内容だ。

 一見すると便利そうなこのマイナンバーカード。政府は「ほぼ全員にこのマイナンバーカードが行き渡るようにする」方針を掲げているが、実際は普及までに時間がかかるとの見方が強い。

 デジタル庁の資料によれば、マイナンバーカードの未取得理由で最も多いのが「情報流出が怖いから」で35.2%、次いで「申請方法が面倒だから」で31.4%、「マイナンバーカードにメリットを感じないから」の31.3%となっている。

 情報流出については「マイナンバーカードのセキュリティ対策」というページにこう書かれている。

  • 紛失や盗難の被害に遭った場合は、24時間365日体制で一時利用停止可能
  • アプリごとにパスワードを設定し、一定回数間違うと機能をロック
  • 不正に情報を読み出そうとすると、ICチップが壊れる仕組みを採用

 政府がいうには実際にはマイナンバーカードの所有による個人情報の直接的な流出にはつながらない。ただ、それが伝わっていないことが、普及の障壁となってしまっている。

 取得後も実際に使えるかどうかも気になるところだが、1枚で身分証明が済むケースと、そうでないケースが存在する。例えば、公的な手続きならマイナンバーカード1枚で済むが、場合によってはマイナンバーカードに加え、補助書類として住民票の提示が求められるケースがある。せっかく取得したマイナンバーカードなら、それだけで身分証明を済ませたい、と感じるのは自然だろう。

 メリットの大きなマイナンバーカードだが、申請から受け取りまでの流れは単純ではない。申請から発行までに概ね1カ月から2カ月かかる。地方公共団体情報システム機構(J-LIS)で作成されるため、ここまでの時間を要してしまう。

マイナンバーカード 課題 申請 取得 交付 手続き 申請しても受け取れるまでに時間がかかる

 申請後、「個人番号カード交付・電子証明書発行通知書兼照会書」が届くため、居住している市区町村役所、総合支所またはマイナンバーカード特設センターに受け取りに出向く必要があり、これも消費者にとっての負担となっている。

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