ついに姿を消したiPhoneの「Lightning端子」 Dockコネクターから始まった“iPhoneの端子”を振り返る(1/2 ページ)

» 2025年05月19日 13時30分 公開
[佐藤颯ITmedia]

 Appleの新型スマートフォン「iPhone 16e」が発売されたことで、Apple製品からLightning(ライトニング)端子が完全に姿を消した。これは1つの時代の終わりを意味していると考える。今回は、iPhoneに採用されてきた端子の変遷を振り返ってみたい。

iPhoneといえばLightning端子だった

 iPhoneの外部接続端子としてなじみが深かったのが、Lightning端子だ。2012年に登場したiPhone 5で初めて採用され、最後に搭載されたのは2022年発売のiPhone 14シリーズだった。

 約10年にわたってiPhoneの充電、データ転送端子として採用され、この間に幾多の対応アクセサリーも登場した。2020年代に入ってからは後述するUSB-Type Cへの変更を求める声も多かったが、今ではiPhoneを象徴する要素の1つとして多くの方が思い浮かべるだろう。

 思い返せば13年前にLightning端子が登場した当時は、「端子の向きを気にせずに挿せる」構造が革新的だった。当時はまだUSB Type-Cは規格策定前で存在せず、主流だったMicroUSBは端子の爪が壊れやすく、差し込み方向にも注意が必要だった。端子の爪が破損したり、経年劣化で引っ込んだ状態になっていたりすると、接触不良で充電できないことが多々あった。

 そんな中、Lightning端子はケーブル側の端子接点が表面にあるため壊れにくく、端子の向きを気にせずに使うことができた。向きを気にせずに使えることが、これほどまでにストレスフリーなのかと痛感させられたことを思い出す。暗がりなどの手元が見えない場面でも迷わず端子を接続でき、ユニバーサルデザインという意味でも画期的だった。

iPhoneコネクターの変遷
iPhoneコネクターの変遷 Lightning端子は従来よりも小型化。Micro USBほどの大きさになった

サードパーティーのアクセサリーを入手しづらいデメリットも

 一方で、Lightning端子には課題もあった。Appleが独自チップを内蔵するMFi認証制度を導入していたため、これに対応しないサードパーティーのケーブルやアクセサリーはOSのアップデートによって使えなくなるケースがあった。当時製品のパッケージには「iPhone 6対応」「iOS 8.0対応」と記載された製品が多く存在したが、これは消費者への配慮でもある。

 その結果、廉価な粗悪品ケーブルが出回ることは少なくなったものの、MicroUSBケーブルと比較して入手しにくい状況が3年ほど続いた。今でこそ多くの店舗で購入できるLightningケーブルだが、当時のMicro USB並みの量がそろうまでには時間がかかった。

 この他、端子部がむき出しの構造となるため、汚れには弱かった。長期にわたって利用すると湿気などを理由にケーブル側の端子にさびが付着することもあった。端子がむき出しなので、何らかの理由でショート(短絡)する可能性も指摘された。

 これについてAppleは「端子がむき出しになっているが、内部回路で保護されている」と明言しており、日常的な使用でショートによる損傷が起きることはほとんどないようだ。

iPhoneコネクターの変遷 iOSの対応バージョンや新機種の名前が明記されたアクセサリーもあった
iPhoneコネクターの変遷 ケーブルの端子部がむき出しになっており、USB Type-Cと比較すると直接触れることができる

もはや懐かしい Lightning以前に主流だった30ピンDockコネクター

 Lightning端子よりも前のiPhoneには「30ピンDockコネクター」と呼ばれる端子が使われていた。これはiPodと同じもので、名前の通り30ピンの接点を持つ横長の形状の端子だ。

 物理的なロック機構も備えており、端子だけでデバイスを吊り下げられるほど頑丈だった。この特性を生かして、iPhoneを首からぶら下げられるアクセサリーも販売されていた。

 アクセサリーの種類は今ほど豊富ではなかったものの、iPodに準拠したアクセサリーが多く使えた。iPhoneのDockコネクターに直接接続するスピーカーやオーディオ機器が多く存在し、iPod/iPhone向けのアクセサリー市場も活発だった。

 オーディオ関連のアクセサリーの豊富さは、音楽プレイヤーとして登場したiPodシリーズがあったからこそといえる。音楽以外では動画を大画面で楽しむために、コンポジット出力でテレビに映像を出力するケーブルなども販売されていた。ただしアナログ出力のため、画質はそれなりだった。

iPhoneコネクターの変遷
iPhoneコネクターの変遷 Dockコネクターは横長の端子。端子の脇にツメを備える
iPhoneコネクターの変遷 映像を出力するアダプターも販売されていた

 ただし、Dockコネクターは端末側の端子が壊れやすい難点があった。誤って逆差ししてiPhoneを破損させたり、端末側のコネクターの角が欠けたりしたことのあるユーザーもいるだろう。

 そんなDockコネクターだが、2025年にもなればなじみのない人の方が多いだろう。最後に販売された機種が2011年発売のiPhone 4sであることもあり、10代の若い世代になると「見たことがない」という声も出てくる。筆者がX(旧:Twitter)に投稿した際は「SDカードを挿入するのか」「親が使っていたiPodのイメージ」というコメントも見られた。

 また、Dockコネクター世代のiPhoneはドコモで販売されなかったこともあり、ドコモでiPhoneデビューしたユーザーからすると、Dockコネクターは「iPhoneの充電端子」としてはなじみが薄い。Lightning端子に切り替わってから10年以上が優に経過しているため、初めてのiPhoneが10年前といってもiPhone 6であることを踏まえると、こうした現状にも納得がいく。

iPhoneコネクターの変遷 Dockコネクターといえば、もっぱらiPodのイメージが強い方も多い
iPhoneコネクターの変遷 ドコモで初めて取り扱ったiPhoneはiPhone 5sと5c。既にLightning端子が採用されていた
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