ついに姿を消したiPhoneの「Lightning端子」 Dockコネクターから始まった“iPhoneの端子”を振り返る(2/2 ページ)

» 2025年05月19日 13時30分 公開
[佐藤颯ITmedia]
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待望のUSB-Type C採用 汎用規格であることが最大のメリット

 最後に現行のiPhoneでは、欧州の法規制を背景に、汎用(はんよう)規格のUSB Type-Cに移行した。Lightning端子と同様にどちらの向きでも挿せる端子だが、データ転送速度や給電性能はType-Cが圧倒的に上。最大の違いは、独自規格から汎用規格への移行である点だ。

 DockコネクターからLightning端子へ移行したときを思い返すと、ケーブルをはじめとしたアクセサリーの少なさに悩んだことを思い出す。独自規格から独自規格へのアップグレードということもあり、アクセサリーが拡充するまで時間がかかったように感じる。

 一方でUSB Type-Cは既にAndroidスマートフォンやWindows PCなどで広く採用されており、対応するケーブルやアクセサリーも豊富に存在する。こちらも登場から10年が経過することもあって、スマートフォンに限らず家電製品やおもちゃ、加熱式たばこなどでも一般的になりつつある。

 Apple製品でもノートPCのMacBook、タブレット端末のiPadは先にUSB Type-C化が進んでいた。Apple製品向けのアクセサリーも充実しており、タイミング的にもiPhoneは非常にスムーズな移行となった。

iPhoneコネクターの変遷
iPhoneコネクターの変遷 iPhone 15では、iPhoneで初めてUSB Type-Cが採用された
iPhoneコネクターの変遷 iPadは2018年のiPad ProよりUSB-Type Cを採用。現行モデルは全機種がUSB Type-C端子に置き換わっている

 筆者もiPhone 15シリーズに乗り換えた際、以前のようにiPhone専用ケーブルを用意する必要がなくなり、Android端末やノートPCと端子を共有できることが非常に便利に感じられた。出張や旅先などで充電器を1つ減らせる点は大いに助かっている。

 USB Type-Cは汎用規格であるため、ケーブルや充電器の入手性も圧倒的に高い。家電量販店やディスカウントストア、コンビニエンスストアや100円ショップでも容易に手に入り、価格も手頃だ。以前のLightning端子用の安価なケーブルは制限も多かったが、USB Type-Cのケーブルは安価なものでも急速充電や映像出力に対応する多機能な製品がそろっている。

 充電ケーブルはもちろん、映像出力アダプター、イヤフォンジャック変換などの関連アクセサリーも安価に入手できる。上位モデルは高速通信可能なことを生かして外部ストレージの接続もできる。総合的に見れば、USB-Type CはiPhone史上最も部環境が整った端子規格と評価したい。

iPhoneコネクターの変遷 イヤフォンジャックの変換アダプターなど充電端子を用いたアクセサリーも入手しやすくなった
iPhoneコネクターの変遷 ポータブルSSDなどの外部ストレージも簡単に接続できるようになった

 iPhoneにおけるLightning端子の終息は、iPhoneが長年守ってきた独自規格からの決別を意味する。きっかけは欧州地域の規制こそあれど、30ピンDockからLightning端子、そして現行のUSB Type-Cへと変化した。他の端末を見ても、独自端子を貫いたソニーのウォークマンも2019年モデル以降はUSB Type-Cを採用しており、2021年にはハイエンドも含めて完全移行した。さまざまな利点のあった独自端子類も、利便性に優れるものに変化している。

iPhoneコネクターの変遷
iPhoneコネクターの変遷 iPhoneの端子も利便性の優れるものに進化した

 iPhoneの発売以降15年にわたって長らく続いた「iPhoneの独自端子問題」は、iPhone 16eの発売に伴うiPhone SEの販売終了をもって、一段落したといえる。

著者プロフィール

佐藤颯

 生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。

 スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。

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