NTTドコモが5月29日、銀行事業に参入することを正式に発表した。銀行事業参入にあたりドコモは、住信SBIネット銀行を連結子会社化する。ドコモは住信SBIネット銀行の普通株式を対象とする公開買付を行い、65.81%の株式を保有する。
あわせて、ドコモは住信SBIネット銀行、三井住友信託銀行、SBIホールディングスの4社で基本契約を締結し、三井住友信託銀行と住信SBIネット銀行と業務提携契約を締結する。
ドコモが銀行口座と決済、証券などの金融サービスを一体となって提供することで、スマートフォンだけで貯金、決済、投資、保険、融資、ポイントなどのサービスをまとめて利用できることをメリットに挙げる。さらに、複数サービスの利用に応じてdポイントの特典を付与する、といったお得な仕組みも用意する。
銀行サービスを通じて得られたデータと、他の金融サービスのデータを組み合わせることで、ユーザーごとに最適なサービスを提供する。
ドコモの販売チャネルを通じて銀行口座や預金の獲得を進めることで、銀行事業の収益拡大や金融事業の成長を目指す。
ドコモと住信SBIネット銀行の提携により、以下のシナジー効果の実現を目指す。
ドコモは2024年に銀行業参入を宣言しており、同社の前田義晃社長はサービス提供時期について「2024年度をめどにしたい」と述べていた。そこからやや遅れての発表となった。
前田氏は住信SBIネット銀行の子会社化について、「銀行業参入にあたっては、自社設立も含め、あらゆる選択肢を慎重に検討してきたが、ドコモが提供する金融サービスの連携に必要な機能を有する住信SBIネット銀行こそが、最良のパートナーであると判断した」と説明する。
住信SBIネット銀行について前田氏は、「経営基盤の安定性と収益性に加え、高度なAIデジタル技術などの先進性を備えた銀行」だと評価する。
左から、NTTドコモ 代表取締役社長 前田義晃氏、NTT(日本電信電話) 代表取締役社長 島田明氏、SBIホールディングス 代表取締役会長兼社長 北尾吉孝氏、住信SBIネット銀行 代表取締役社長 円山法昭氏
NTTドコモが「住信SBIネット銀行」を買収と一部報道 5月29日の取締役会で決議
ドコモが銀行業に参入へ 前田新社長「2024年度内にめどをつけたい」
ドコモ前田社長インタビュー 「顧客基盤」と「コンテンツ」が強み、銀行業は「絞り切れていない」
auとソフトバンクは“金融連携”プランが好調、ドコモはどう出る? 料金競争は新たな局面へ
ドコモの「dスマートバンク」は成功するのか? “銀行事業ではない”ことの課題もCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.