一部の報道機関が5月29日、NTTドコモが住信SBIネット銀行の株式の過半数を取得し子会社化する旨を報じた。本件についてNTTドコモと親会社である日本電信電話(NTT)はコメントを発表し、同日にNTTドコモが開催する取締役会に付議するとした。
また住信SBIネット銀行もコメントを発表し、同日に本件を取締役会に付議することを明らかにした。
NTTドコモはスマートライフ(非通信)事業の中でも金融サービスの強化を進めている。自社でクレジットカード(dカード)事業を行っている他、2023年10月にマネックス証券を、2024年3月にローン事業を手掛けるオリックス・クレジット(現在のドコモ・ファイナンス)をそれぞれ子会社化したが、肝心の銀行事業は保有していなかった。他方、競合のモバイル通信事業者は子会社または孫会社を通して銀行事業を保有しており、銀行サービスとひも付けた施策を実施している。
そのこともあり、ドコモは事あるごとに銀行事業参入への意欲を示しており、住信SBIネット銀行の買収を通した参入の可能性が何度も報道されてきた。
住信SBIネット銀行は、住友信託銀行(現在の三井住友信託銀行)とSBIホールディングスが合弁で2007年に営業を開始した(※1)ネット専業銀行で、2023年に東京証券取引所のスタンダード市場に株式を上場している。
一部の報道によると、NTTドコモはTOB(株式公開買い付け)で住信SBIネット銀行の株式を取得する形で子会社化を行うという。また、大株主のうちSBIホールディングスはTOBに応じる一方、三井住友信託銀行は引き続き株主として残るとされる。
(※1)法人格的には、1986年に住友信託銀行(当時)が設立した「住信オフィスサービス」がルーツとなっている
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