ドコモ、dアカウントの仕組みを2026年度末までに全面改修へ 複数回線で1アカウントを利用できるように

» 2025年06月30日 17時24分 公開
[田中聡ITmedia]

 NTTドコモのサービスを使っていて気になるのが、dアカウントの使い勝手だ。dアカウントはドコモの会員サービスだが、ドコモ回線と密接にひも付いていることで、使い勝手を悪くしている。

 例えばドコモで複数回線を契約している場合、dアカウントも個別に作成されるので、ユーザーはどの回線でどのアカウントを使っているかを把握しておく必要がある。ドコモのスマートフォンとホームルーター(home 5G)を契約している場合も同様で、ドコモスマホのdアカウントではホームルーターの会員ページにはログインできない。

dアカウント ドコモのdアカウントは1回線につき1アカウントが発行されるため、問題が起こりやすい

 複数回線で保持しているdポイントを、それぞれのアカウントで統合することはできるが、アカウントベースで会員を管理するなら、このような作業自体が本来は不要のはず。統合はWebからも行えるが、場合によってはドコモショップで手続きをする必要もあり、それなりに手間がかかる。

dアカウント アカウントの情報を1つに統合することはできる

 ドコモは住信SBIネット銀行を2025年秋に完全子会社化し、2026年度に銀行サービスの開始を予定している。そこで懸念されるのが、銀行サービスの管理が回線ベースになることで、使い勝手を損なうのではないか、という点だ。

 住信SBIネット銀行の「NEOBANK」では、ログイン方法に「スマート認証NEO」という方法を採用している。これはFIDOアライアンスのセキュリティ基盤であるFIDOに準拠したパスキーを採用したもので、ユーザーはパスワードを入力せずに生体認証のみでログインできる。筆者もNEOBANKを利用しているが、iPhoneの場合、Face IDで顔認証をするだけで即座にログインして、口座残高の確認や振り込みなどができる。

dアカウント 住信SBIネット銀行もログインにパスキーを採用しており、生体認証によってスムーズにログインできる

 ドコモもパスキーを採用しており、回線認証がマストではなくなったが、銀行サービスも回線とひも付き、1回線につき1口座しか管理できないような仕様になると、決して使い勝手がいいとはいえない。

 ドコモの前田義晃社長に、このdアカウントの使い勝手について聞いたところ、大きく2つの問題があるという。「1つは、本人認証の回数が多いことや、パスキー認証にアプリが必要といった、使い勝手に関するご不満(※パスキーはブラウザでも設定可能だが、アプリも併存している)。もう1つは、1回線につき必ずアカウントが発行されてしまうという、根幹の構造的な問題です」

 パスキーについては、「アプリをインストールしなくてもすぐに使えるようにすることを、2025年度第3四半期〜第4四半期に向けて対応する見込み」とのこと。具体的には、ブラウザからの設定で統一する予定だという。

dアカウント パスキーはブラウザとdアカウント設定アプリから登録できるが、登録手段をブラウザのみに統一する予定

 1回線につきアカウントが発行されてしまうという問題については、「法人契約などでも忘れがちで、お客さまからも手続きが大変だという声が多く聞かれます」と前田氏は言う。これは基幹システムが回線ベースでユーザー情報を管理しているためだが、前田氏は、複数回線で1つのdアカウントを利用できるよう改修する意向があることを明かす。ただし改修するにはシステムを抜本から変える必要があり、「何とか来年度(2026年度)末くらいまでには実現したい」とのこと。

 「複数回線をお持ちで、それらをうまく使おうとされている方々には、もう少しこの根本的な修正をお待ちいただくことになりますが、メイン回線が決まっており、そこにひも付いているアカウントをお使いの方にとっては、不便で分かりにくいサービスにはなっていないと考えています。いずれにせよ、分かりやすいインタフェースを作っていきたいと考えています」

 「Google アカウントやApple IDのように、広く1つのIDで使えるものに皆さまが慣れていらっしゃる中で、ドコモだけが使いづらいと感じる部分があるのは理解しています。そこはしっかりつぶしていく必要があります。国内のプレイヤーと比較しても、回線ひも付けの問題を除けば、dアカウントのレベルは遜色ないと考えています」(前田氏)

dアカウント dアカウントの改修について語る、NTTドコモの前田義晃社長
dアカウントdアカウント dアカウントにパスキーを採用したことで、ドコモのサービス利用で回線認証が必須ではなくなった。例えば他社回線でd払いアプリを使う場合、事前にパスキーを登録しておけば、一度ログアウトしても、生体認証のみで再ログインできる

 前田氏も、当初dアカウントの開発には携わっており、「その当時からなぜ1つのIDに全ての回線がひも付かない形なのか、と言っていたくらいですから」と、使い勝手について思うところはあったようだ。これはユーザーの管理が回線単位であり、「そのシステムに増改築を繰り返した結果、現在の形になってしまった」のが実情のようだ。

 繰り返しになるが、dアカウントは、2026年度末(2027年3月まで)をめどに、複数回線で1つのdアカウントを利用できるように改修する予定。つまりApple IDやGoogle アカウントと同様の使い勝手になる。

 「これはかなり大規模な改修となり、多額の費用もかかります。ALADIN(ALL Around Docomo INformation System:アラジン)などのレガシーな顧客管理システムに依存している部分があり、そこをどう直すかという課題もあります。開発に携わっているメンバーは相当大変な思いをしています」(前田氏)

 ドコモにとってはハードルの高い改修になるが、会員IDは、その会社のサービスを使う上で根幹となる部分。早期の改修を望みたい。

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