既報の通りNTTドコモは5月29日、子会社化することを前提に住信SBIネット銀行の株式をTOB(株式公開買い付け)で取得することを発表した。取得期間は5月30日から7月10日までの予定で、スクイーズアウト(※1)の手続きを経て住信SBIネット銀行の株主はNTTドコモと三井住友信託銀行のみとなる予定だ。
(※1)株式を強制的に買い取ることで、少数株主を強制的に“排除”すること
住信SBIネット銀行といえば、先進的なUI(ユーザーインタフェース)とUX(ユーザー体験)を提供していることでも知られている。しかし、SNS上ではドコモによる子会社化でそれが損なわれるのではないかとの懸念が出ている。
SNSで特に懸念されていたのが、NTTドコモの会員基盤でもある「dアカウント」との連携だ。
dアカウントはドコモの提供するサービスを利用する際に使われるアカウントサービスで、現在はキャリア(通信事業者)を問わず利用できるようになっている。しかし、ドコモの回線契約とひも付けて利用すると利便性がかえって低下する、あるいは回線とのひも付けを解除する際にトラブルが発生しやすいなど問題点も複数指摘されている。
5月29日に行われた記者説明会では、住信SBIネット銀行のUI/UXを引き合いに出しつつ、dアカウントをどうしたいのか、記者がドコモの前田義晃社長にただす場面も見られた。
記者 住信SBIネット銀行のアプリやサービスは非常に使いやすいと思っています。一方で、(ドコモの)dアカウントに関しては、うまくログインができないなど、使い勝手が悪いと感じます。銀行と(サービス面で)くっつく場合にセキュリティを向上させないといけないとは思うのですが、その中でも今後dアカウントの使い勝手を改善する予定はあるのでしょうか。
前田社長 もちろんあります。現在も(利用者の)皆さまからかなり多くの指摘をいただいておりますので、それを反映させるべく今も検討と開発を進めています。住信SBIネット銀行のサービスと我々のサービスが連携する際に、我々側がボトルネックにならないように、取り組んで参ります。その上で住信SBIネット銀行の持つUI/UXの素晴らしさを我々のサービスに反映させていきつつ、うまく連携できればと思っています。
このように、ドコモ自身はサービスとしての「dアカウント」に一定の課題意識を持っている。しかし、それが改善にうまく結び付いていないようである。住信SBIネット銀行の子会社化を契機に、良い方向に改善されることを期待したい。
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