サービス開始後の反響として、KDDIは実際の利用シーンを紹介した。「山頂で友人にメッセージが送れて感動した」「峠道で両親に連絡できた」「携帯電話が届かない山奥のキャンプ場でつながって安心した」といった声が寄せられているという。
法人向けの活用も進んでいる。5月にはヤマレコ(登山アプリ)と長野県警と連携し、遭難救助の実証試験を実施した。遭難者が自分の位置情報をアプリで送信し、選択式の質問で現在の状況を伝える仕組みだ。
体験会では実際のデモンストレーションも行われた。ヤマレコのアプリを通じて救助要請を送ると、登山ルートや登山計画が自動的に長野県警のシステムに連携される。警察側では遭難者の現在位置、今後の予定ルート、加入保険などの情報を即座に把握でき、山岳救助隊が情報確認を待たずに出動できる。同時に、緊急連絡先として登録された家族にも位置情報や遭難状況がSMSで通知される仕組みだ。
従来は遭難時に連絡手段がなく救助まで数日かかることもあったが、au Starlink Directを使えば30分以内に初動対応が可能になるという。
現時点では緊急時の連絡手段という位置付けだが、将来的にデータ通信や音声通話に対応すれば、山岳地帯や離島など圏外エリアでの活動が大きく変わるだろう。特に登山やキャンプなどのアウトドア活動では、安全性が飛躍的に向上することは間違いない。
サービス開始から3カ月で100万人が利用し、衛星追加でさらに品質が向上したau Starlink Direct。データ通信対応も控え、圏外エリアでの通信環境は今後さらに進化していくだろう。
(取材協力:KDDI)
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