ハ・ヒョンミン氏は、災害時においてもRakuten最強衛星サービスは強みを発揮できるとアピールする。他社の衛星通信サービスとの比較において、楽天モバイルが地上設備を自ら管理・運用する「MNO主導」の衛星通信ネットワーク構成が大きな強みになるそうだ。楽天モバイルは衛星と地上ネットワークを接続する「ゲートウェイ」までの地上設備を自ら直接準備し、運用する。既存のネットワーク設備に一部修正は加えるものの、自社で機材を管理することにより、ネットワーク全体を柔軟に制御することが可能となる。
例えば、楽天モバイルの場合、特定の地域で大規模な災害が発生した際に、MNOである楽天モバイル自身の判断で、その被災地域に電波を集中させて通信帯域を増強するといった緊急対応を迅速に行える。一方、他社のサービスでは、同様の対応を取る場合、「まず衛星サービス事業者との連携や調整が必要となる」(同氏)ことから、楽天モバイルのように自由な制御や調整が難しいという。
また、楽天モバイルではゲートウェイや無線アクセス設備の設置方法にも注力しており、災害時を想定した対策を実施。ゲートウェイ設備を国内数カ所に分散設置することで、仮に地震や津波などの災害によって1カ所の地球局が機能停止に陥ったとしても、残りの地球局がその役割を代替し、通信サービスを継続して提供することが可能となる。
ゲートウェイの周辺には無線アクセス設備(eNodeBなど)が設置される。この地上設備には、衛星が非常に高速で移動することによって生じる電波の周波数ズレ(ドップラーシフト)や通信の遅延を、リアルタイムで補正するための高度な機能も組み込まれている。
今回、楽天モバイルはサービス開始まで期間がある中で、現時点で可能な情報を公開した形だ。三木谷氏は4月の記者会見で料金プランについて「まだ悩んでいるのが正直なところ」と話していたが、9月1日時点でも開示できる新情報はない。
しかし、対応端末には期待が持てる。このサービスは、地上設備側で衛星通信特有の課題を補正するため、市販のスマートフォンをそのまま利用できる。具体的な機種名や対応機種数は未公開だが、幅広い端末での利用が見込まれるため、今後の発表が待たれる。
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