スマホに搭載されるエージェント型AIとは、どのようなものか。会期初日に基調講演を行ったCEOのクリスティアーノ・アモン氏は、「AIは新しいユーザーインタフェース(UI)である」としながら、次のように語る。
「システムは、ユーザーのニーズを理解し、常にサポートを提供できるよう設計されている。まるでアプリとやりとりするような感覚だ。しかし、これは従来のアプリとはまったく異なり、ユーザーのニーズを先回りして予測し、積極的にサポートしてくれる」
具体例として挙げられたのが、ユーザーのチャット記録から自動的に会議用の資料を作成し、送信しておくといったことや、レストランを検索し、メニューをスマホに送るとともに予約をするといったこと。これらは、スマートグラスやスマホ、スマートウォッチなど、複数のデバイスが連携し、実現している。
アモン氏は、「スマホはこれまで通り素晴らしい機能を提供し続けながら、ユーザーの操作を代理で行うような機能も提供できるようになる」としつつも、その中心はエージェント型AIに移っていく見通しを語る。スマホありきではなく、スマホも含めた複数のデバイスをAIがとりまとめるイメージに近い。
もちろん、こうした機能がSnapdragon 8 Elite Gen 5だけですぐに実現するわけではなく、アモン氏が示したのはあくまで将来像だ。一方で、チップセットの進化が目指す方向性は、大きなビジョンに基づいている。そのために重要になるのが、同チップに搭載された「Sensing Hub(センシングハブ)」の進化や、Sensing Hub上に組み込まれた「Personal Scribe(パーソナルスクライブ)」だ。
Sensing Hubとはセンサーを制御するための機能で、声を検知した際に音声アシスタントを起動したり、カメラで顔認証を行ったりといったことに活用されている。Snapdragon 8 Elite Gen 5に搭載されたSensing Hubは、前世代比で消費電力が33%削減されており、さらに効率的な動作が可能になっている。
さらにSensing Hub上に実装したPersonal Scribeで、ユーザーのさまざまな属性や文脈を保存していくことが可能になる。Qualcommの副社長でAIや生成AIを担当するプロダクトマネージャナーのビネッシュ・スクマール氏は、これを「会話の要素を知的に保存するための新機能」としつつ、ローカルに保存される「ナレッジグラフ」だとした。
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