Googleは、Pixelシリーズの最新モデル「Pixel 10」シリーズを8月28日に発売する。プロセッサに最新のGemini Nanoが動作する「Tensor G5」を備え、この処理能力によって動くAIの新機能を多数搭載しているのが共通の特徴になる。ノーマルモデルのPixel 10は、望遠カメラにも対応した。
ラインアップは、「Pixel 9」シリーズと同じ。ノーマルモデルのPixel 10に加え、プロモデルはPixel 10と同サイズの「Pixel 10 Pro」と大画面版の「Pixel 10 Pro XL」が発売される。登場時期は10月になるが、フォルダブルモデルの「Pixel 10 Pro Fold」も導入され、シリーズとしては全4機種展開になる。
ハードウェアの進化以上に大きいのが、Tensor G5を生かしたAIの進化だ。一方で、AIの機能は実際に触ってみないとその実力が分かりづらい部分もある。発売に先立ち、Pixel 10シリーズの実機を試用することができたので、そのレビューをお届けしていく。
ハードウェアとして大きく変わったのは、ノーマルモデルのPixel 10に光学5倍の望遠カメラがついたこと。Pixel 9までは超広角と広角のみだったので、より被写体に寄った撮影が可能になった。ただし、画素数は10.8メガピクセル。Pixel 10 Proなどのように、一部を切り出して劣化を抑えて10倍まで拡大するということはできない。
5倍以上で撮影しようとすると、デジタルズームを組み合わせた超解像ズームになる。この点は、ノーマルモデルならではの仕様と言っていい。ただし、超解像ズームがなかなか優秀で、最大望遠の20倍で撮ってもかなり劣化は抑えられている。ここまでズームできるのであれば、プロモデルではなく、ノーマルモデルを選ぶという人も増えるだろう。
シリーズ共通でQi2に対応しているのも、Pixel 10シリーズの特徴だ。iPhoneに搭載されるMagSafeとも互換性があるため、充電器はもちろん、一部のアクセサリーも使い回すことが可能だ。同時発売されるPixelsnapは試用できなかったので、一般的なMagSafe対応の充電器を使ってみたが、位置合わせが簡単。気付かないうちにズレていて、充電されていないというストレスから解放される。
また、処理能力もシリーズ共通で底上げされており、過去最大のアップデートをうたうTensor G5が搭載されている。ただし、発売前の試用段階では「Geekbench 6」をはじめとするベンチマークアプリはダウンロードできなかった。また、性能を60%向上させたTPUや、その上で動くGemini Nanoなどは、数値化しづらい側面もある。
Googleが重視したのは、その上で作り上げることができる体験だ。実際、Pixel 10シリーズには、過去のPixelよりも多くのオンデバイスAIの機能が搭載されており、使い勝手が向上した。Google フォトやGeminiアプリなど、Googleのサービス側ではなく、端末上で動作させることで、処理速度を向上させたり、プライバシーを担保したりすることが可能になる。その1つが、「マジックサジェスト」だ。
これは、メールやカレンダーなどを参照して、音声通話やメッセージ中にAIが先回りして情報を提示するという機能。アプリの切り替えや行き来を減らすのが、その目的だ。AIがエージェント的に振る舞う便利な機能といえる。とはいえ、それは正しく機能すればの話。どこまできちんとやりとりを検知できるかによるところが大きい。
実際に別の端末からPixel 10 Proにメッセージを送ってみたところ、予定を尋ねるような文脈では、それを検知してマジックサジェストがカレンダーを提案するボタンが表示された。ただし、Googleがデモなどで見せているような予定の中身ではなく、タップするとカレンダーアプリが起動するだけにとどまった。これでもコミュニケーション中にサッとアプリを切り替えられて便利だが、少々物足りない。
電話に関しては、マジックサジェストボタンをタップすると画面内に情報を表示するための枠が現れるが、適当に会話を続けても、特に反応がなかった。アプリ内のデータを学習する必要があるため、すぐに使えるわけではなさそうだが、アクティベーションから6日たっても状態は変わらない。一押しの機能的に扱われていたので、少々肩透かしを食った格好だ。
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