もう1つはっきり効果が出たAI機能が、プロモデル限定で搭載された最大100倍ズームを可能にする「超解像ズーム Pro」だ。Pixel 10 Pro/Pro XLは光学5倍、ピクセルビニングを解除した切り出しを合わせて10倍まで引き延ばしなしでズームができるが、それ以上の倍率にはデジタルズームを掛け合わせる。30倍までだとこれまでと同じ「超解像ズーム」だが、超解像ズーム Proはそれを超えた際に有効になる。
拡散モデルとは、イラストや写真を生成するAIで使われているモデル。元の映像を見ながら、足りない部分を生成AIで補っているということを意味しており、今までの超解像ズームとは仕組みが大きく異なる。効果的なのは50倍前後に設定した場合で、デジタルズームがかかっているとは思えないほど、シャキッとした写真を撮ることができる。
逆に、最大倍率の100倍までズームすると、出力される写真のクオリティーに大きなブレがあった。明らかにAIが描いたイラスト風の写真になってしまったり、謎の文字が出力されていたりと、写真と呼ぶには厳しい画像になってしまうことも多い。その意味では、使いどころはかなり選ぶ。C2PAに対応しており、Googleフォトなどで来歴は見ることができるものの、SNSなどでシェアする際には一言説明があった方がいいだろう。
また、倫理的な問題もあってか、人物の顔には超解像ズーム Proがかからないようになっているため、被写体を選ぶ側面がある。ただし、超解像ズーム Proがかかると、AI補正後と補正前、両方の写真が残る仕組みになっている。明らかにおかしな“写真のような何か”になってしまった場合には、補正前の元画像を使えばいい。こうした仕様からは、Google側も何が問題になるかはよく分かっていることがうかがえた。
人物を撮るだけであれば、切り出しを掛け合わせた10倍でも十分、被写体に寄ることができ、クオリティーも高い。あえて超解像ズームや超解像ズーム Proを使う必要性は薄い。しかもPixel 10シリーズはISPなどの改善によって、写真のクオリティーが上がっている。色の正確さや、夜景を撮ったときのノイズの少なさなども、かなり優秀な仕上がりだ。
AIを使った派手な新機能に目を奪われがちだが、スマホとしての“地の力”もきちんと底上げされているといえる。これは、カメラ以外でもだ。操作感はいいし、Android 16でユーザーインタフェースに「Material 3 Expressive」を採用したことにより、分かりやすさも上がっている。AIにはまだまだ粗削りなところがあるものの、それをどう使っていくかを考える面白さもある。スマホに新しさを求めている人には、オススメできそうなシリーズだ。
(製品協力:Google Japan)
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