逆に、初手からきちんと機能したのが、音声通話をリアルタイム、かつ話し手の声で翻訳する「マイボイス通訳」だ。こちらは、現在、英語を起点に他言語に翻訳する仕組みで、日本語と英語間では利用が可能。英語が含まれている必要があるため、日本語からスペイン語やフランス語、中国語などとの組み合わせには対応していない。
自分が日本語で話した内容を、もう1つの端末で聞いてみたが、確かに機械的な音声ではなく、自分の声が英語になっている。逆に、英語に設定した側で英語を話してみたところ、聞きなれた自分の声が日本語になった。本来の使い方には沿っていない感想だが、自分が発したのではない自分に似た声の日本語が流れるのは、少々不思議な感覚になる。
双方が話した内容はチャットのような体裁で画面上に文字として表示されるため、記録を残しておくのに便利。通話を終えると文字は確認できなくなるが、音声認識の段階でミスが生じていないかどうかの確認にもなる。現時点では英語との組み合わせでしか利用できないが、筆者がまったく話したり聞き取ったりできない他の言語に広がれば、利便性はさらに高まる。今後のバージョンアップにも期待したいところだ。
もう1つ、分かりやすく、かつ新しいと感じたのがカメラの新機能にあたる「カメラコーチ」だ。これは、その名の通り、撮り方をAIが指導してくれる機能のこと。カメラを向けてボタンをタップすると被写体が認識され、それに合った複数のテーマが表示される。テーマに沿って、どのような構図やフレーミングで撮ればいいのかをステップバイステップで教えてくれる。
例えば、以下のようにモデルと背景を認識すると、カメラコーチ側から「都市ポートレート」や「顔にフォーカス」など、複数の候補が提示される。ここでは前者の都市ポートレートを選択した。すると、まずポートレートモードへの切り替えを促された後、人物をフレームの中央から少しずらし、かつ顔にピントを合わせるような指示が出た。
ポートレートモードに切り替え、人物を中心からズラした上でピントを合わせるよう指示が出た。なお、画面の表示が縦のままなのは、デフォルト設定で自動回転がオフになっていたため。この状態でも写真自体は横位置で撮影されている結果として撮れたのは、以下の写真だ。取りあえずモデルに立ってもらって下半身まで入るよう、適当な距離で撮った写真との違いが際立つ。店舗内で撮った写真も、反対側の席から標準状態のまま撮るより、カメラコーチに従った方が見栄えのする構図になった。いくらスマホの機能が上がっても、腕やセンスが身に着くとは限らない。AIがそれを補うことで、スマホだけでなく、人間側のスキルが向上するというのは面白いアイデアだと評価できる。
ただし、どちらかといえば王道気味な構図が好きなようで、ちょっと凝ったことをしようとしても、普通に被写体を中央に配置した構図が指示されてしまうこともあった。これだと、ちょっとつまらない。また、あくまで気分的な問題だが、カメラコーチで写真を撮り続けていると、AIの指示に従って体を動かすだけのカメラアシスタントになったような気持ちになってくる。
どちらが意思を持った人間なのかが分からないのは、どことなくディストピア的だ。対話しながら、もう少しユーザー側の希望を反映してくれるといいのだが、今のカメラコーチはやや型にはまりすぎている感がある。こうしたあんばいをどう調整していくかは、今後の課題といえる。
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