海外旅行用eSIMアプリ「トリファ」を使ってみた 初心者向けの丁寧な設計だが、5G対応は限定的で価格がネック(1/2 ページ)

» 2025年11月30日 10時00分 公開
[石井徹,ITmedia]

 iPhone 17シリーズから物理SIMカードスロットが廃止され、eSIMオンリーになった。これまで以上に海外渡航時の通信環境をどうするか考えなければいけない。

トリファ 海外旅行用eSIM「トリファ」を試した

 キャリアの国際ローミングやレンタルWi-Fiルーターといった選択肢もあるが、もっと手軽な方法として、アプリから開通できるeSIMサービスを試してみることにした。今回使ったのは日本発の海外eSIMサービス「trifa(トリファ)」だ。

eSIM購入から設定まで10分で完了

 トリファアプリには、eSIMの購入からインストール、現地での開通手順をサポートする機能が一通りそろっている。要はアプリでeSIMを買って、そのままスマホにインストールして使えるということだ。

 ちょうどヨーロッパのラトビアに滞在する出張があったので、この機会に試してみた。日本で事前購入して、現地で開通、帰国後まで一通り検証した。

トリファトリファ 「ラトビア」と検索するとラトビア1カ国のプランとヨーロッパ周遊プランが提示された

 選んだのは「ヨーロッパ周遊」の無制限プラン。4日間で3420円だ。ラトビアへの渡航だが、往復ともワルシャワでトランジットがあり、片道4時間ほど待つ。そのためポーランドでも使えるヨーロッパ周遊プランにした。

 実はラトビア単国プランもあるのだが、価格を見て驚いた。ヨーロッパ周遊とまったく同じ値段だったのだ。この理由は後で分かったのだが、なかなか興味深い。

トリファトリファ ヨーロッパ周遊4日間の場合、無制限が3420円、5GBがセールで2570円、3GBが1810円だった。実はラトビア1カ国を選んでも同じ金額だ

 購入手続きは、渡航先と利用期間、プランを選んで、アカウントを登録して、決済という流れ。決済はいくつか選べるが、Apple Payを使った。スムーズに完了して、すぐに「マイ eSIM」タブに購入したeSIMが表示された。

 いいなと思ったのは、eSIMのインストール手順をスクリーンショット付きで画像保存できる機能だ。iPadなどで開いておけば、作業中に手順を確認できる。

トリファ 設定手順をスマホに画像として保存する機能がある。海外旅行時にオフラインで設定するときに参照できる配慮だ

 インストール自体は簡単で、アプリからiPhoneの設定アプリへ自動で飛んで、画面の指示に従って進めるだけ。購入からインストールまで10分もかからなかった。

トリファ アプリからiOSの設定に飛んでeSIMがダウンロードできた

トラブル発生も、親切なサポート機能で解決

 さて、eSIMを購入してインストールしたら、次は現地での開通だ。海外に着いたらeSIMを有効化して通信を始める。ここで問題が起きると、海外で通信手段がなくて困ることになる。トリファにはこういう状況に備えたトラブルシューティング機能がある。

 ワルシャワのトランジット中にeSIMを有効化してみたのだが、最初は接続できなかった。こういうときに「通信トラブルを解決する」という機能が役に立った。診断してみると、iPhoneの設定でデータローミングがオフになっていることが分かった。

 この機能は、iPhoneの設定画面のスクリーンショットで視覚的に案内してくれる。どこを確認すればいいか画像で示してくれるから迷わない。設定をオンにしたら、ポーランドでも問題なくつながった。

トリファトリファ 設定手順をワンステップごとに案内してくれる

 ラトビアのリガでも順調に接続できた。接続先はラトビアの主要キャリア「BITE」で、通信規格は4G LTEだった。

 ここで最初の疑問が解けた。今回のヨーロッパ周遊プランは、Orange Franceが発行するeSIMだ。フランスのOrangeのSIMカードを使って、ラトビアではBITEなど3つのキャリアにローミング接続するという仕組みになっている。つまりラトビア単国プランもヨーロッパ周遊プランも、実態は同じOrange FranceのヨーロッパローミングSIMなので、価格も同じというわけだ。

トリファ ラトビアでも4G LTEに接続できた

実測速度は167Mbps、実用上は問題なし ahamoとも比較

 海外でeSIMを使うときに気になるのが、実際の通信速度だ。いくら安くても、通信が遅くて使えないなら意味がない。リガ市内のバス車内でSpeedtestを走らせてみた。

 結果は、ダウンロード167Mbps、アップロード25.0 Mbps、Pingは82msだった。4G LTEとしてはかなり速い。移動中のバスの中でこの速度が出るのは印象的だった。

トリファ 移動中のバスの中でも100Mbps超えの通信で接続できた

 実際の使い勝手はどうかというと、Google マップでナビゲーション、InstagramやXに写真投稿、YouTubeで1080p動画を見る、といった使い方で全く問題なし。ストレスを感じる場面は一度もなかった。

 トリファのような海外eSIMサービスと、キャリアの国際ローミングでは速度がどれくらい違うのか。参考までに、同じリガ旧市街のホテルで、NTTドコモのahamo(5Gローミング)と比べてみた。

 ahamoがGoogle Pixel 10 Pro Fold、トリファがiPhone 17 Proなので厳密な比較ではないが、興味深い結果が出た。

 ダウンロード速度はahamoが198Mbps、トリファが86.6Mbpsで約2.3倍の差。アップロード速度もahamoが34.9Mbps、トリファが22.2Mbpsで約1.6倍の差があった。ダウンロード・アップロード速度ではahamoが圧勝だ。

 ただ、トリファの86.6Mbpsでも動画見たりSNS使ったりする分には十分だった。意外だったのはPingで、ahamoが505ms、トリファが82msと、4Gのトリファの方がはるかに速かった。おそらくahamoは日本のNTTドコモを経由してルーティングしているためだろう。

トリファ ahamoのローミングの方がダウンロードスピードは速いが、Pingはトリファが勝っていた

5G対応は地域限定、ヨーロッパは非対応

 トリファを選ぶときに注意したいのが、5G対応状況だ。韓国、台湾、ハワイ、グアムなど限られた地域では5Gに対応しているものの、ヨーロッパを含む多くの地域では5G非対応となっている。今回のヨーロッパ周遊プランも「3G/LTE/4G」対応で、5Gは使えなかった。

 実測では十分な速度が出ているし、使っていて困ることはなかった。ただ競合サービスが5G対応をうたっている中では、時代遅れな印象を受ける。

 先ほどのahamoとの比較でも約2倍の速度差があった。大容量ファイルをダウンロードしたり、4K動画をストリーミングしたり、複数人で同時に使うなら5Gの優位性は明らかだ。ただ、海外旅行での普通の使い方、つまりGoogle マップやメッセージアプリ、SNS、動画視聴くらいなら4Gで十分だった。渡航先が5G対応地域かどうかは、購入前に確認しておいた方がいい。

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