こうした連携が取りやすいよう、ドコモグループで金融や決済サービスを担う会社を、ドコモ傘下の金融持株会社に集約する検討も進んでいるという。競合他社を見ると、KDDIはauフィナンシャルホールディングスを持ち、auじぶん銀行やauペイメント、au損保といった各金融、決済事業者を束ねている。「動きが速い業界なので、新しい取り組みや新しいテクノロジーが次々と出てくる。そこにキャッチアップし、競争力を高めたい」というのが狙いの1つだ。
もう1つ大きいのが、ガバナンスだ。金融や決済サービスの運営には、「業法に沿った事業運営や経営層の関与、金融に精通した人が事業運営をしているかもポイントになる」。実際、通信と金融、決済サービスでは監督官庁も異なれば、順守すべき法律も異なる。分社化し、そこに金融や決済に特化した専門的な人材を配置することで、「よりガバナンスを効かせた形にしたい」というわけだ。
連携体制という意味では、8月の名称変更を待たず、既に人材交流も進んでいるようだ。田原氏によると、「うち(ドコモ)からも開発メンバーが出向し、全体で言うと20人弱が住信SBIネット銀行に出向している」という。ドコモ側は、「d払い中心に、UI(ユーザーインタフェース)やUX(ユーザー体験)を改善してきた実績のあるチームがいる」。そのメンバーを銀行側と合流させ、「UI、UXを起点にサービスをデザインするワーキングチームを作っている」という。
住信SBIネット銀行はUIやアプリの作り込みに定評がある。田原氏も、「今の住信SBIネット銀行のUIはものすごく使いやすい」と語る。一方で、dアカウントでの連携になってくると、その利便性が低下してしまう恐れもある。現行のdアカウントは回線契約を基盤にした顧客管理システムとひも付いていることもあり、使い勝手に疑問符が付くことも多い。
実際、筆者もかつて統合していたdアカウントの片方だけ回線を解約した結果、それが残ったままになり、メインで使う契約中の電話番号にひも付いたdアカウントでオンラインショップが使えなくなるというトラブルにあった。回線契約している場合、回線ごとにdアカウントを作らなければならず、1つのサービス内で情報が分散してしまうといったことも起こる。
このdアカウントが住信SBIネット銀行と連携することで、使い勝手を損ねてしまうのではという不安の声も聞かれる。これに対し、田原氏は、「(社長の)前田からお伝えしているように、dアカウントが複雑になっている」としながら、「社内で改善するプロジェクトが急ピッチで進んでいる」と語る。「ドコモの回線やカードを使われてメリットを獲得したい方はdアカウントの連携が必須になるが、そこ(使いやすいUI)を毀損(きそん)することなく、画面設計や導線設計をしていきたい」というのが、ドコモの方針だ。
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