KDDIが3月31日、同社の子会社であるビッグローブの子会社、ジー・プランが行っていた不適切な取引の詳細について発表した。KDDIは2026年1月14日に外部の弁護士・公認会計士で構成される特別調査委員会を設置し、調査を進めてきた。3月31日に会見を開き、特別調査委員会とKDDIが不正取引の経緯と原因、今後の対策について説明した。
調査の結果、ジー・プランの従業員2人によって、広告代理事業で実際は存在しない架空循環取引を行っていたことが分かった。時期については、遅くとも2018年8月から2025年12月にかけて、ジー・プランのソリューション営業ビジネス部長だったa氏の主導により、部下のソリューションチームチームリーダー兼アドプロダクションチームリーダーだったb氏の協力を得ながら、継続的に架空循環取引を行っていた。
架空循環取引とは、存在しない商品の取引を複数企業と行い、売り上げを水増しする不正取引。巡り巡って自社にも売り上げが入るが、企業と取引をするごとに手数料(マージン)が発生するため、雪だるま式に支出が増える。また、会計上は売り上げや利益が増えて業績が好調に見えるが、実際は売り上げが立っておらず、本来の業績と大きなギャップが生じてしまう。
今回の架空循環取引では、ジー・プランまたはビッグローブが、上流に位置する広告代理店と、下流に位置する広告代理店のWeb広告取引を仲介し、成果件数に応じた手数料収入を得ていた。具体的には、アフィリエイト広告の形態だったという。
アフィリエイト広告は、広告主からの依頼によって発生するが、今回は広告主が存在しないにもかかわらず、あたかも存在するかのように装って、a氏とb氏が上流代理店から架空の広告掲載業務を受注。その後、下流代理店に広告代理事業を発注し、上流代理店→ジー・プラン(→ビッグローブ)→下流代理店→上流代理店という順番で報酬を支払い、架空循環取引を行っていた。
支払いの流れは必ずしも上記の通りではなく、ビッグローブを起点とする場合もあった。一部の下流代理店とビッグローブは、15日サイトという短期間での支払いを採用し、上流代理店からの入金前に下流代理店に支払う「先出し」を行っていた。これによって下流代理店が架空循環取引に必要な資金を確保できた。例えば上流代理店が4月末締め分を45日サイトで支払う6月15日には、同時に5月末締め分を15日サイトで支払う下流代理店からの入金があり、上流代理店は自社の手数料を確保しつつ、ジー・プランに4月末締め分を支払うことが可能になった。
ビッグローブを起点とした架空循環取引のイメージ図。数字は取引の順番を示す。ビッグローブから下流代理店に支払われた金額を原資として、下流代理店は上流代理店へ金額を循環させている。ビッグローブからの短期での支払い(先出し)により、上流代理店は同日に下流代理店からの支払いとジー・プランへの支払いを行えるようになる。取引の度に手数料が上乗せされるため、循環する度に金額は雪だるま式に膨れ上がるのは変わらない架空循環取引は21社の広告代理店と行っており、ジー・プランの広告代理事業の売り上げのうち、約99.7%が架空循環取引で計上されたものだったという。当然ながら、実際に掲載された広告や成果も存在していない。
そもそもなぜ、a氏とb氏は架空循環取引に手を染めたのか。ジー・プランにおける広告代理事業は、a氏が主導して開始したものの、想定した売り上げと利益を上げることができず、数十万円規模の赤字と数千万円単位の売り上げ未達が見込まれた。a氏は事業撤退を余儀なくされるとの「焦り」から、赤字を補填(ほてん)し、売り上げ目標を達成するために、架空循環取引を開始したという。
a氏はその後、正規取引で利益を出すことで、架空循環取引の売り上げ分を補填することを考えていたが、取り返せず、取引金額だけが増えていった。b氏は2020年4月に入社し、a氏の指示によって架空循環取引に協力していた。
2022年12月頃には、ビッグローブも広告代理事業に参入し、KDDIからグループファイナンス(資金調達)を活用することで、今回の架空循環取引での原資を提供することが可能になった。これによって取引金額はさらに増加し、21社が架空循環取引の商流に含まれることになった。
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