KDDIは2026年3月期第3四半期の決算発表を延期した。1月14日に公表した、同社連結子会社のビッグローブとジー・プランによる不適切な取引の影響により、特別調査委員会の調査が継続していることがその理由で、この問題の影響を織り込んだ現時点での業績参考値が公表された。
この不適切な取引に関しては、2026年3月期第3四半期までの累計では、それぞれ最大で売上高に約680億円、営業利益で約250億円、そして外部への流出額として約170億円、合計では約1100億円のマイナス影響が生じると試算されている。
なお、この不適切な取引は最長で2017年から始まったと想定されており、今期第3四半期までで売上高は約2460億円、利益で約500億円、外部流出額で約330億円の業績影響があったと見込まれており、過去の決算に関しても今後修正が行われる可能性がある。
不適切な取引に伴って業績発表は延期されたが、参考として連結業績の一部も公表された。それによれば、第3四半期までの累計で、売上高は前年同期比3.8%増の4兆4718億円、営業利益は同2.0%増の8713億円、当期利益は同5.3%増の5540億円だった。これに外部流出額の引き当てを反映させると、営業利益については前年同期が8465億円、今期が8543億円、当期利益はそれぞれ5185億円、5369億円となる。
増減要因としては、モバイルセグメントが前年同期比272億円、金融・エネルギー・ローソンが182億円、DXが85億円、技術構造改革が129億円の、それぞれプラス影響となった。過年度販促費は289億円、その他で204億円のマイナス影響があり、最終的に8713億円となった。
営業利益は、モバイルで161億円、金融・エネルギー・ローソンで55億円などがプラスとなったが、さらに過年度販促費が23億円のプラス影響となった。結果として営業利益は3117億円となった。端末の買い替えプログラムの利用増に伴う負担の増加が収益を圧迫しているNTTドコモとは対照的に、松田浩路社長は「バランスが取れてコントロールできている」と話す。
モバイル収入は2024年3月期に底を打ち反転した。この成長がさらに加速したことで、第3四半期までの累計で前年同期比299億円のプラスとなった。松田氏は、「過当な販促競争からライフタイムバリュー(LTV)重視の取り組みを推進したことで、ARPU成長と契約長期化による解約率低下となり、筋肉質な事業基盤になった」と強調する。
こうした構造改革は、端末価格を安価にすることで加入を促すのではなく、サービス価値や料金プランによって長期間の利用継続にフォーカスしていると松田氏。例えばUQ mobileでは、SIMのみの契約ではなく端末をセットで契約すると、ARPUが3割増、継続率も4ポイント増加しているとのことで、同様の取り組みを強化する。
auでは、料金とサービスの内容で差別化し、料金プラン「マネ活2」や「Pontaパス」、Netflixとの連携が好調。マネ活2は175万契約を突破し、Pontaパスは10〜12月で約35万の純増となった。Netflixは、利用料金の20%を還元する「サブスクぷらすポイント」によって、2025年12月には前月比9倍の申し込みとなったという。「競争の源泉であるネットワークのつながる体験価値と合わせて引き続き磨き上げていく」と松田氏は話す。
ネットワーク品質では、5G SAエリアが業界トップクラスとなり、エリアの拡大を継続して2026年3月期末には人口カバー率90%超を目指す。au Starlink Directは2025年4月の開始から利用者数が約350万人に到達し、実際に雪山での滑落事故では、au Starlink Directを使って救助を要請したという事例もあったそうだ。2026年1月には国内接続エリアが2倍に拡大し、小笠原諸島や主要なフェリー航路も全てカバーできるようになったという。
UQ mobileからauへの移行も促進している。第3四半期にはUQからauへの移行がプラス反転となり、auの価値づくりの取り組みが奏功したと松田氏。モバイルARPUも前年同期比190円増となる4550円で「大きく成長した」(同氏)。こうした傾向は、契約の長期化、解約率の低下にも表れているとしている。
KDDI子会社での不適切取引の疑い、「通信サービスの提供には一切影響しない」と松田社長
5Gが好調のau、料金値上げが好循環に 課題の金融事業は「マネ活プラン」強化でてこ入れ 決算会見で語られたこと
KDDIは料金値上げも「循環経済の好循環」を目指す、「5G優先接続=既存ユーザーが犠牲」発言に反論も
銀行連携を強化したauの新プラン「マネ活2」を解説 強すぎる“ゴールドカード推し”は不安材料に
au Starlink Directで“衛星データ通信”を実現できたワケ 対応スマホやアプリは少ないが、新たなビジネスモデルも?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.