povoが仕掛ける“ネットワーク不満層”の取り込み ahamoや楽天を狙い撃ち、ローミング終了も追い風に:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2026年06月20日 09時54分 公開
[石野純也,ITmedia]

 KDDIのオンライン専用ブランドとしてpovo 2.0を運営するKDDI Digital Lifeは、同サービスの新たなトッピングを2つ発表した。1つ目が、合計容量が1.32TBになる大容量の1年間トッピング、もう1つが毎月0.5GBと低容量のサブスクトッピングだ。これらの新トッピングと合わせて、6月19日から、新規契約時に24時間のデータ使い放題トッピングが10回分もらえるキャンペーンを開始した。

 キャンペーンではMNPの必要なくサブ回線としてau回線のネットワーク品質を体感できることを訴求する一方、新しいトッピングは、こうして獲得したサブ回線のユーザーがpovoを“メイン化”することに主眼が置かれている。唐突に導入されたように見えた新トッピングや新キャンペーンだが、背景にはある事情が透けて見える。アクセルを踏むpovoの戦略や、その市場状況を解説する。

povo2.0 KDDI Digital Lifeは、povoの新キャンペーンを開始した。トッピングも入れ替えを行い、1年間で1.32TBの大容量トッピングを導入する。中央はKDDI Digital Lifeの濱田社長

10日間使い放題のキャンペーンを開始 サブ回線でユーザーの懐に飛び込む

 6月19日に、povoは新たなキャンペーンを開始した。新規契約の際に、データ使い放題(24時間)のトッピングを10回分もらえるというのが、その中身だ。契約時に「AUKAITEKI」(注:au快適)というキャンペーンコードを入力するだけで付与される。povoは基本料無料のため、10日間は無料でお試しできるのがこのキャンペーンの魅力。狙うのは、メイン回線の通信に不満を持つユーザーだ。

povo2.0 新規契約で、24時間のデータ使い放題を10回分もらえるキャンペーンを開始した

 キャンペーンのキャッチコピーに、「つながりにくいならau回線のpovo」と銘打っていることからも分かるように、ターゲットはauやUQ mobile以外のユーザー。povoがau回線で、そのauがOpensignalの体感品質調査で4年連続1位になっていることも改めて訴求している。auの通信品質や、その通信品質によって高まったブランドを武器に、改めて他社ユーザーにアピールしているというわけだ。

povo2.0 povoは、au回線とほぼ同じであることを改めてアピールした

 実際、povoは、デュアルSIMで使われるケースが1年前から1.5倍に増加しているという。KDDI Digital Lifeを率いる代表取締役社長の濱田達弥氏は、自社で実施した調査結果を踏まえ、「『メインで使っていたSIMがどうしてもつながらない』『回線の品質が悪い』『バックアップとしてpovoを入れておこう』という声をいただいている」と語る。

 他社の回線品質に不満があるので、つながらないときのためにpovoを入れておく。そんなユースケースを捉え、さらに広げていくのが上記のキャンペーンだ。その上で、「品質が使ってみたらめちゃくちゃいい、ニーズに適した小容量や長期間のトッピングもあるということで、メインで日々ご利用いただくことにつなげていく」(同)のが、povoの戦術。サブ回線としてユーザーの懐に入り込み、徐々にメインの地位に上り詰めていく道筋だ。

povo2.0 デュアルSIMの2回線目としてpovoを利用する人が、1年で1.5倍増加したという。SNSでも、好意的な声が目立つ

 こうした戦術を取れるようになった背景には、市場環境の変化があるという。濱田氏は、2018年にeSIMに対応した「iPhone XS」が登場したことを挙げ、スマホに「複数のSIMを挿すことができるようになった」としながら次のように話す。

 「21年には携帯電話事業者が販売する端末のSIMロックがなくなり、ちょうどその頃、povo2.0が誕生した。当初よりeSIMでの提供をメインに行っていたが、その後、MNPのワンストップ申し込みが始まり、25年のiPhone 17シリーズに至ってはeSIMのみになった。こういった近年の流れが、21年に誕生したpovoのコンセプトにフィットした」

povo2.0 市場環境の変化で、povoのような戦略が成立しやすくなった

 サブとして使ってもらい、メインに昇格してもらう戦術は、成果も出ている。濱田氏が「最近ではメイン回線としてpovoをご利用いただくお客さまが、非常に増えてきている」というように、MNPで電話番号を移してpovoを契約するユーザーは、2024年下期から2025年下期にかけ、1.9倍に拡大。「日常的な、メインのスマホにご利用いただくことが広がっている」(同)という。

povo2.0
povo2.0 1年間トッピングやサブスクトッピングの導入などで、メイン回線としての利用も増加している
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