世界を変える5G

現在povoに未対応の5G SA、早期導入を検討――新社長が語る通信品質への覚悟

» 2026年06月18日 14時20分 公開
[金子麟太郎,ITmedia]

 6月18日、KDDI Digital Lifeは「povo2.0 サービス説明会」を開催。新たに月110GB相当を1年間利用できる大容量トッピング「1.32TB(365日間)」の追加などを発表し、KDDI Digital Lifeの濱田達弥社長が5Gを含む通信品質に言及する場面があった。

povo2.0 ネットワーク povo2.0のサービス説明会に登壇したKDDI Digital Lifeの濱田達弥社長

5G SAの導入に向けた前向きな姿勢とNSA品質への自信

 povo2.0は、au回線を利用した高品質な通信をアピールしているが、厳密には提供されているネットワーク機能に差異が存在する。例えば、コア設備や基地局なども含めて5G専用の技術と設備で構成した「5G SA(スタンドアローン)」や、混雑時に速度低下の影響を受けづらくなる「au 5G Fast Lane」といった機能に、現在のpovo2.0は対応していない。

 記者から、povoで5G SAが提供されていないことに関して問われると、濱田氏は「5G SAについては現在導入を前提に検討を進めている」と明言した。さらに、「現時点では提供できていない意味において、auやUQ mobileと比べてその分は劣後しているかとは思っているが、早期に導入していきたいと検討を進めている」と述べ、最先端の通信規格の導入に向けた意欲を示した。

 5G SAの導入は、低遅延を求めるゲーマー層や、大容量通信を頻繁に行うヘビーユーザーにとって、通信の快適性を大きく向上させる重要なアップデートとなる。導入が実現すれば、povo2.0のサービスとしての競争力は一段と高まるはずだ。

 一方で、濱田氏は4Gのコアネットワークを流用する「NSA(ノンスタンドアローン)」構成のネットワーク品質についても強い自信をのぞかせた。「NSAにおいても、非常にいいネットワーク周波数の使い方やチューニングを行っているので、NSAの品質に関してもかなりいいものと理解している」と語る。

大容量トッピング普及によるネットワーク混雑への備えとは

 新しいトッピングの「1.32TB(365日間)」は、1カ月あたり110GBを3270円で利用できる計算となり、これまでのpovo2.0にはなかった超大容量のトッピングだ。競合他社が展開する大容量の料金プランを強く意識した戦略的な料金設定であり、メイン回線として利用するユーザーを本格的に取り込むための強力な一手だ。しかし、大容量データの利用者が急増すれば、当然のことながらネットワークの混雑や通信品質の低下が懸念される。

povo2.0 ネットワーク 新しいトッピングの「1.32TB(365日間)」のスライド。1カ月あたり110GBを3270円で利用できる計算だ

 この点について記者から、大容量トッピングの普及によるネットワーク混雑の懸念や、今後のネットワークがau回線と全く同じという理解で合っているか? との質問が投げかけられた。

 これに対し、濱田氏は「ネットワークについては、お客さまが増えればネットワークが逼迫してくることはあり得る」と、リスクが存在することを率直に認めた。その上で、「au回線においては混雑するエリアや時間帯に合わせて微細なチューニングを続けてきた」と説明し、「povoにおいても、仮にそういったことが発生した場合にはこれまでやってきたようにチューニングを行っていくものと理解している」と回答した。

 さらに注目すべきは、au回線との同一性に関する発言だ。濱田氏は「ネットワークの仕組みとしてはau回線を使っているが、事業体が異なるため全く同じとはいえない」と率直に明かした。

 加えて、新トッピングのニュースリリースの注釈(注1)にも「povoはau回線を用いており、ご契約プランによる通信制限(データ容量超過時など)を除き、auと同じ通信仕様」と明記されている。

povo2.0 ネットワーク 新トッピングのニュースリリースの注釈(注1)の文言(出典:povoのニュースリリース)
povo2.0 ネットワーク 説明会の資料でも「povoがauと全く遜色のない通信品質である」とは断言せず、「auの通信品質を多くのお客さまに体感していただきたい」としか明記されていない

 つまり、全ての契約条件およびネットワーク仕様においてauとpovoの通信品質が同じとは断言していないということだ。povo2.0がauと全く同じ品質であるとむやみにアピールするのではなく、システムの違いを前提とした上で、適切なトラフィック制御やチューニングを実施していくという通信会社としての誠実な姿勢がうかがえる。

 通信各社が品質と価格で激しい競争を繰り広げる中、povo2.0は独自の柔軟なサービス展開で市場の隙間を縫うように成長を続けている。超大容量トッピングの追加によってメイン回線としての存在感を強めるpovo2.0が、今後どのようなチューニングと機能拡張で高品質なネットワークを維持していくのか――。

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